運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
途端に、華やかだったお茶会の場が、しんと冷たく静まりかえる。まるで、クラリスたちがひだまりまで連れ帰ってしまったみたいに。
セレナは空になったティーカップを両手で包みながら、ちらちらとアレクの様子をうかがった。
彼は足を組んだまま、何を考えているのかわからない横顔を見せている。
……気まずい。
萎縮するように肩をすくめると、アレクがこちらに目を向けた。思わず、わざとらしく視線をそらしてしまう。
そのとき、ひときわ強い風が吹き、薔薇の香りが二人の間に流れ込んでくる。
いい香りですね。王城の薔薇はやっぱり他とは違います。
そんな会話をするべきか、とっさに頭に浮かんだが、結局、何も言葉が出ず、ますます沈黙が際立っただけだった。
「……何をそんなに身構えてる。俺とふたりきりになるのが、そんなにいやか?」
あきれ顔で、アレクはほんの少し腰を浮かす。
もしかして、帰る気だろうか。それは困る。
「い、いやじゃないですっ」
セレナは反射的に答えていた。
むしろ、この機会を逃すわけにはいかなかった。でも、舌の痣を見せてほしい……だなんて、とても言える気がしない。
「いやじゃ……ないのか」
なんとも拍子抜けした顔で、アレクはごほんとわざとらしく咳払いをし、座り直す。
「えっと、お茶会になれないだけで、殿下がどうのというわけではなくて……」
「そのわりには、ずいぶん固いじゃないか。そんなに俺が怖いか?」
目尻をさげ、からかうような声音で話す姿に胸がどきりとした。いつも不機嫌そうにしているから、気安く笑いかけられると、また違う居心地悪さを感じてしまう。
もじもじしていると、彼はふと目を細める。
「……たまにはな、腹を割って話してみてもいいかと思ったんだ」
「腹を割って……ですか?」
セレナは空になったティーカップを両手で包みながら、ちらちらとアレクの様子をうかがった。
彼は足を組んだまま、何を考えているのかわからない横顔を見せている。
……気まずい。
萎縮するように肩をすくめると、アレクがこちらに目を向けた。思わず、わざとらしく視線をそらしてしまう。
そのとき、ひときわ強い風が吹き、薔薇の香りが二人の間に流れ込んでくる。
いい香りですね。王城の薔薇はやっぱり他とは違います。
そんな会話をするべきか、とっさに頭に浮かんだが、結局、何も言葉が出ず、ますます沈黙が際立っただけだった。
「……何をそんなに身構えてる。俺とふたりきりになるのが、そんなにいやか?」
あきれ顔で、アレクはほんの少し腰を浮かす。
もしかして、帰る気だろうか。それは困る。
「い、いやじゃないですっ」
セレナは反射的に答えていた。
むしろ、この機会を逃すわけにはいかなかった。でも、舌の痣を見せてほしい……だなんて、とても言える気がしない。
「いやじゃ……ないのか」
なんとも拍子抜けした顔で、アレクはごほんとわざとらしく咳払いをし、座り直す。
「えっと、お茶会になれないだけで、殿下がどうのというわけではなくて……」
「そのわりには、ずいぶん固いじゃないか。そんなに俺が怖いか?」
目尻をさげ、からかうような声音で話す姿に胸がどきりとした。いつも不機嫌そうにしているから、気安く笑いかけられると、また違う居心地悪さを感じてしまう。
もじもじしていると、彼はふと目を細める。
「……たまにはな、腹を割って話してみてもいいかと思ったんだ」
「腹を割って……ですか?」