運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
魔物はいまだ暴れ回っている。
エリアスめ、ルミナリアを滅ぼすつもりか。
いや、イザベラを封じたのだ。
魔物もじきに落ち着きを取り戻し、我は助かるであろう。



ふたたび、三日が過ぎた。
エリアスはイザベラに呪いをかけられたらしい。
あの男も愚かなものよ。
イザベラの呪いはイザベラにしか解けぬ。

助かるためには、イザベラを復活させ、殺さねばならぬ。

……ああ、おかしい。笑い死にしそうだ。

イザベラにエリアスよ。
おまえたちは苦しむがいい。

我らを裏切りし者の罰を受けるのだ……

_______


 そこで文面はとぎれ、端に茶色いシミがにじんでいた。

 長い年月で変色したようにも見えるが……その不規則な形は、まるで血の跡のようだった。書き手はこのあと、魔物に襲われたのだろうか。

 セレナは身震いしたあと、ふたたび、羊皮紙の文面を目で追った。何度見ても、心がひやりと震える。

「エリアスの呪いを解くには、イザベラを……殺さなきゃいけない」

 セレナは羊皮紙を握りしめたまま、震えるこぶしを見つめた。

 アレクに抱きしめられた感触がよみがえり、突如、それは懐かしさをはらむような、もう二度と訪れない悲しみに包まれた気がした。
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