運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 アレクは厳しい顔つきでゆっくりとうなずく。

「それだけじゃない。魔物由来の闇魔法を持つ者を精霊たちは嫌う。オリオンはもう天穹宮では暮らせない。司祭への道はあきらめ、監視対象として王宮へ連れてこられたんだ」
「監視……」

 つまり、セレナと同じ。闇の魔力を持つものは監視対象となり、王宮で暮らすことをよぎなくされているのだろう。

「オリオンを魔術師団長に抜擢したのは、俺だ。あいつはアルナリアで一番有能な魔術師。生涯、俺のもとを去ることは許されない」
「アレクにそう言ってもらえたら、オリオンさんも救われますね」

 にこりと笑んだら、アレクは一瞬、気の抜けるような顔をした。そして、腰に腕をまわし、ほおを重ね合うように顔を寄せてくる。

「セレナも、同じだ」
「……あ、アレク」
「なんだ?」

 急に間近で顔をのぞき込んでくるから、セレナの胸は跳ねた。

「きょ、教皇様はお若いのに、すごい力をお持ちなんですね。禁断の書に封じてあった魔物を倒しちゃうなんて」

 恥ずかしさのあまり、アレクの胸を軽く押しながら言うと、彼は目を大きくし、すぐにくすりと笑った。

「何がおかしいんですか?」
「いや、若いといっても、教皇猊下は百歳を超えている」
「え……百歳? まさか」
「知らなかったのか? 教皇は人と精霊の間に生まれた存在だ。三百年もの年月を天穹宮で過ごされると聞く」

 セレナは思わず、心の中でつぶやく。

(……寿命が三百年もあるのね。だから、二千年の間に七代しかいないわけだわ)

 アレクの腕がセレナの腰から離れ、彼が顔を上げると、扉の奥から司祭が現れる。

「アレクシス王太子殿下、どうぞ、中へお進みください」

 扉の先に、ずらりと並ぶ司祭たち。その先にある長くて大きなテーブルに、ライナスはルーガとともに着いていた。
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