運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「ええ。王都ソルディアですわ。美しい林に囲まれた、とても大きな都市ですの」
「今いるメルンは……」
「ここですわ。王都より東のべナール地方、この中心地にメルンはありますの。セレナさんは明日、この道を通って王都を目指すことになると思いますわ」

 細い指で、リディアは地図の上をなぞる。その周囲をセレナは確認していく。

「……平坦な道が続きそうですね」
「まあ、地図を見ただけでおわかりになりますの? 王都までは林の中を抜けていきますのよ。川を三つほど渡りますが、このあたりの魔物はすべて、王国軍が殲滅したと聞いておりますし、危険はございません。むしろ……」

 リディアはスッとメルンの東へと指を滑らす。

「アルナリアで一番危険なのは、アルヴェインの森です。すでにここを抜けてこられたのですから、危険はないも同じですわ」
「アルヴェイン……そう言えば、恐ろしいうわさがあると言ってましたよね? 私がいた洞窟は……人の手が加わっていたようなので、地図にも載っていると思うんですが……」

 メルンの街の東に広がる森は、王都ソルディアの何倍もの面積があった。そこに洞窟を見つけられないかと、身を乗り出すようにして顔を近づけると、リディアの手のひらが横から伸びてきて、隠されてしまった。

「リディア……さん?」

 どうしたのだろう。ふしぎに思って顔をあげると、リディアは深刻そうなまなざしでこちらを見下ろしていた。

「洞窟から……来ましたの?」
「えっ……ええ」
「……アレクシス殿下も人がお悪いわ。それを隠していたなんて」
「何か……おかしなことを言いましたか?」

 リディアはそっとうなずき、何もない森を指差す。

「洞窟というのは、おそらく、ほこらでしょう」
「ほこらって?」
< 17 / 177 >

この作品をシェア

pagetop