運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 やはり、呪いを解くには、イザベラの生まれ変わりである自身の命を捧げないといけないのだろうか。

「あの、アレク……」
「おまえが部屋に隠し持っていた羊皮紙なら、確認させてもらった」
「え……」
「今、アードラーに味方した貴族たちを徹底的に調査している。おまえの部屋は調べる必要ないと言ったんだが、対応の甘さを批判する声がなかったわけじゃないのでな」
「じゃあ、見たの……?」
「呪われたエリアスが助かるためには、イザベラの死が必要……だったか」

 不安な顔をしただろうか。彼はするすると優しくほおをなでてくれる。

「……あれは、ルミナリア王族のたわごとだ。いちいち、真に受ける必要はない」
「ほんとうに?」

 セレナの瞳が潤む。

 生きていていいの? これからもずっと、アレクのそばで。

 アレクは彼女の唇に指で触れ、やわらかく微笑んだ。

「俺を救うのは、おまえの死ではない。おまえが、生きて、ここにいることだ」
「……アレク」
「だから、刻印が消えないのも、当然だ」
「いやじゃ、ないの?」
「いやなものか。これは、呪いなんかじゃない。生まれ変わっても、俺たちがまた出会うための、印なんだろう?」

 まるで、それをつけたのはおまえじゃないか、とでも茶化すように愉快げに、アレクは目を細め、顔を近づけてくる。

「あ、アレク……?」
「そろそろ、恋人らしく振る舞ってほしいものだが、おまえというやつは、いつもいつも……」
「何か覚えてるの? いつも私が振り回してるみたい」
「そんな気がしてるだけさ」

 アレクはくすりと笑うと、ふと真剣な目をして唇を重ねてくる。

 もう何度もこうして過ごしてきたのかもしれない。そんな優しい記憶で胸が熱くなりながらも、初めて触れた彼の優しい唇に、セレナは何もかも忘れてしまいそうなほど、幸せな気分に満たされていた。


【完】
< 177 / 177 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:10

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜

総文字数/54,843

恋愛(オフィスラブ)80ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大手オーナー企業、友澤ビルディングの秘書として働く小塚七海は、大学時代からひそかに「推し」ていた加賀樹生と再会するため、同窓会に出席する。 樹生に誘われて、ふたりで居酒屋に行くも、七海は酔った勢いで、彼への長年の思いを打ち明けてしまう。 「ずっと……、樹生さんが好きだったよ」 「だったら、結婚しないか」 しかし、彼から返ってきた言葉は、『期間限定の契約結婚』という予想外の提案だった。 時を同じくして、樹生は友澤ビルディングの副社長に電撃就任。彼の専属秘書となった七海は、会社を揺るがす不正問題に巻き込まれていく。 ただ大好きな人と結婚しただけなのに。 もどかしいふたりの秘密の結婚生活が、いま始まる──
表紙を見る 表紙を閉じる
声を失った令嬢、フロレンティーナ・カリスト(通称ティナ)は、和平交渉の成功を手助けしたことで国王の怒りを買い、公爵家から追放されてしまう。 行き場を失い、雪の中をさまよう彼女を救ったのは――和平交渉の場で出会った、敵国の騎士団長・ラスフォード・エイルズだった。 静かな異国の屋敷に身を寄せることになり、少しずつ距離を縮めていくティナとラスの間には、穏やかな愛が芽吹いていく。 だが、陰謀の影がふたりを襲い、やがて明かされる出生の秘密。 沈黙の令嬢と心優しき騎士団長の、静かで優しい恋物語。
表紙を見る 表紙を閉じる
囚われた弟を救うため、貧民育ちのリーゼは公爵令嬢になりすまし、騎士団長シルヴィオに嫁いだ。 彼女に与えられた任務は、夫を監視すること。 結婚後、新居で待っていたのは、「氷の騎士」と恐れられる無口な夫。 しかし──戦地から帰還した彼は、別人のようにリーゼを溺愛し始めて……!? 「あなたのことを考えない日は一日たりともなかった」 次第にシルヴィオに惹かれていくリーゼ。けれど彼女は知らない。この結婚には、さらなる罠が仕掛けられていることを。 守り守られ真の夫婦を目指す恋愛ファンタジー! ※ヒロインが実家で虐げられるシリアスな展開がありますが、ヒーローによる救済・溺愛へと繋がります。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop