運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 やはり、呪いを解くには、イザベラの生まれ変わりである自身の命を捧げないといけないのだろうか。

「あの、アレク……」
「おまえが部屋に隠し持っていた羊皮紙なら、確認させてもらった」
「え……」
「今、アードラーに味方した貴族たちを徹底的に調査している。おまえの部屋は調べる必要ないと言ったんだが、対応の甘さを批判する声がなかったわけじゃないのでな」
「じゃあ、見たの……?」
「呪われたエリアスが助かるためには、イザベラの死が必要……だったか」

 不安な顔をしただろうか。彼はするすると優しくほおをなでてくれる。

「……あれは、ルミナリア王族のたわごとだ。いちいち、真に受ける必要はない」
「ほんとうに?」

 セレナの瞳が潤む。

 生きていていいの? これからもずっと、アレクのそばで。

 アレクは彼女の唇に指で触れ、やわらかく微笑んだ。

「俺を救うのは、おまえの死ではない。おまえが、生きて、ここにいることだ」
「……アレク」
「だから、刻印が消えないのも、当然だ」
「いやじゃ、ないの?」
「いやなものか。これは、呪いなんかじゃない。生まれ変わっても、俺たちがまた出会うための、印なんだろう?」

 まるで、それをつけたのはおまえじゃないか、とでも茶化すように愉快げに、アレクは目を細め、顔を近づけてくる。

「あ、アレク……?」
「そろそろ、恋人らしく振る舞ってほしいものだが、おまえというやつは、いつもいつも……」
「何か覚えてるの? いつも私が振り回してるみたい」
「そんな気がしてるだけさ」

 アレクはくすりと笑うと、ふと真剣な目をして唇を重ねてくる。

 もう何度もこうして過ごしてきたのかもしれない。そんな優しい記憶で胸が熱くなりながらも、初めて触れた彼の優しい唇に、セレナは何もかも忘れてしまいそうなほど、幸せな気分に満たされていた。


【完】
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