運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい



 治療院に運ばれたセドリック・アードラーは、二日後に目を覚まし、王命により拘束された。それに伴い、セドリックは爵位を剥奪され、その家名は永久に断絶することが決まった。

 イザベラの鏡は灰となり、アレクへの脅威は絶たれた。今ごろ、イザベラはエリアスとともに……いや、すでにふたりは出会い結ばれ、今もこうして──

 王都ソルディアに、平和な日常が戻ってきたころ、セレナはソファーに座り、アレクと肩を並べていた。

「どうした? 俺の顔に何かついてるとでも言いたげだな?」

 そっと肩に腕を回し、アレクが顔をのぞき込んでくる。愉快そうにさがる目尻を見れば、あきれているのでも、怒っているのでもないことはわかる。けれど……。

「あ、……えっと、ちょっと聞きたいことがあって……」

 セレナは戸惑いながら、切り出す。

「もうすべて解決したはずだが? まあ、婚姻式に関しては、陛下の意向が強く、年明けすぐというのは、気がはやいかもしれないがな」
「アレクはいいの……?」
「俺は今からでもいいぐらいだがな」

 さらりと、結婚を待ち望んでいるようなことを言うから困る。

「……き、聞きたいのは、そうじゃなくてね」
「ん? なんだ、婚姻式が強引に決まってすねてるのかと思ったが、違うのか?」
「それは全然、問題ないの。それはもちろん、まだちょっと戸惑ってはいるけど……、そうじゃなくて、あの……刻印のこと……」

 セレナはちらりとアレクの口もとを見る。ああ、と息を漏らした彼はようやく、気づいたようだ。

「まだあるな」
「えっ! まだあるの?」

 セレナがびっくりすると、アレクは静かに笑った。

「消えていて欲しかったような口ぶりだな」
「だ、だって、鏡は壊れて、イザベラは浄化したから……てっきり……」

 脳裏に一瞬、よぎる。
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