運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 セレナは早速、エマに連れられて、客室へと入った。窓からは優しい光が差し込み、色とりどりの花が咲く庭園が望めた。穏やかで静かな空間は、まるで一息つけるオアシスのようだった。

「どうぞ、おかけくださいませ」

 エマが小さなテーブルにポットを置き、湯気の立つ香り高い紅茶を注いでくれる。セレナはほっとしたようにカップを両手で包み込んだ。

「こんなに丁寧にしてもらえるなんて……。てっきり牢屋に放り込まれるんじゃないかって思ってました」
「まあ」

 エマは目を丸くし、すぐにおかしそうに微笑んだ。ほんの冗談だと思ったらしい。

「お困りになっていたところを殿下がお救いしたとうかがっていますよ」
「そうなんですか?」

 驚くと、エマは微笑ましげにふふっと息を漏らす。

「こんなことは初めてですので、メイドたちは少々色めき立っておりますが、セレナ様を拝見して納得しました」
「……納得って?」
「あまりにお美しい方ですもの。セレナ様のお世話を任されましたのは大変光栄ですし、全力でお守りいたしますね」

 全力で守る……? 何から。まったく想像つかないが、エマはやけに張り切るように胸を張る。とにかく、アレクが自分を悪いようにしないつもりなのはわかった。

 胸のつかえが少しおりた気がしたが、アレクの魂胆がわからない以上、まだ油断できない。このまま客人として宮殿でぬくぬく過ごせるわけがない。いずれ、尋問の場が待っているはずだ。そう思うと、胃が重たくなる。
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