運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「アレク様のご婚約者には必ず不幸が起きているからですか?」

 クラリスは思いもよらないことを平然と話す。

「必ず……不幸?」

 思わずつぶやいたセレナは、困り顔のアレクと目が合い、あわてて口もとに手をあてる。

 終始、苦笑いしているアレクは、彼女の扱いをもてあましているように見える。アレクをたじろがせるなんて、クラリスは怖いもの知らずのようだ。

「今回ばかりは、父親に言われて渋々婚約者になろうとする娘ばかりだろう」
「セレナさんもお父さまに命じられて、パーティーへ来られたのですか?」
「まあ……、そうだな」
「爵位のないお家からも候補を探されるなんて……アレク様もおいたわしいですわ……」

 そのまま両手で顔を覆ってしまうから、クラリスはアレクのほおが引きつったことに気づいていない。

 なんていうか……クラリスは素直にアレクの心配をしてるのかもしれないけれど、正直すぎて、彼の自尊心を傷つけたなんて思ってもないんだろう。
 
「クラリス、俺は哀れまれるような結婚をする気はないから安心しろ」
「本当ですか……?」
「ああ。……悪い。サマセット公爵が来たようだ。失礼する」

 アレクは入り口の方へ目を向けると、一瞬、安堵の笑みを浮かべ、さっさと歩いていってしまった。

 逃げ足だけは速いらしい。セレナが羨ましく思っていると、クラリスはさらに話しかけてくる。

「アレク様がアルヴェインの森で助けたという娘は、あなたですか?」
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