運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「心配……? もしかして、不幸が起きるとかなんとかの……」
「ええ……。怖がらせるつもりはなかったんです……」

 では、クラリスは婚約者候補をライバル視してるんじゃなく、ただ単に婚約者候補の娘を心配しているだけということか。……それにしても、その不幸というのは、どんなものなのだろう。

「クラリス、ずいぶん楽しそうだね。君が誰かと長話するなんて、珍しいじゃないか」

 クラリスの後ろに現れた青年が、にこやかに話しかけてくる。

 楽しそう? 彼の目は節穴かしら。

「あ……レオン様……」

 クラリスはドレスのすそをつまみ、ちょこんとかわいらしくお辞儀する。レオンと呼ばれた青年はうなずくと、そのままセレナへと近づいた。

「君かい? 兄さんがひとめぼれして連れ帰ってきたという娘は」

 つっこみどころ満載の言葉に、はあぁ? と叫び出しそうなところ、冷静にまばたきを数度繰り返すだけにとどめられた自分を誇りたい。そう思えるぐらい驚いた。

「名前は、なんていうの?」

 柔らかく尋ねられ、セレナは丁寧に頭をさげる。

「セレナ……セレナ・べナールと申します。アルヴェインの森で倒れていたところをアレクシス殿下に助けられ、パーティーにお招きいただきました」
「そう。僕はレオン・アルナリア。兄さんが結婚してくれないと、僕が結婚できなくて困ってるんだよ。でも今回は心配ないかな」

 うすうす気づいていたが、彼が兄さんと呼ぶのはアレク。金髪のレオンは物腰が柔らかく、アレクには似ても似つかないが。

「心配ないとは……?」
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