運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「あのあと、アレク様と何があったのか、お聞きしたいことはたくさんあるのですけれど、まずは私の方からお話しておかなければいけないことがあるんです……」

 向かい合って腰かけ、セレナが紅茶にそっと口をつけるのを見届けたあと、クラリスがそう切り出す。しかし、聞き捨てならない言葉に、セレナは問わずにいられなかった。

「えっと……、殿下と何かって?」

 すると、クラリスはゆっくりと首をかしげた。

「何もございませんでしたの? 意中の方にダンスをお誘いする場になって、アレク様はセレナさんがいないと知って大層不機嫌になられたんです」
「いつも不機嫌そうなので、そう見えただけでは?」
「いいえ。私たちは小さなころから一緒に育ちましたので、あのご様子は、セレナさんをダンスにお誘いできなかったいらだちにほかありません。レオン様も、間違いないとおっしゃっておりました」

 クラリスは真面目な表情できっぱりと答える。

 私たち……の中には、アレク以外にレオンも含まれているのだろう。王家とサマセット公爵家は想像以上に密接な関係のようだ。

「……何か誤解してるようですけど、私と殿下は何も。そういえば、薔薇を捧げた相手はどなただったんですか?」
「アレク様はどなたにも。今回ばかりは熟慮されてるご様子だと聞きましたけれど」

 宮殿内はいつもと変わらない様子で、婚約者決定に喜ぶ雰囲気がまったくなかったのは、そういうわけか。

「では、私との婚約はありえませんし、あの日は本当に何も……」
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