運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
セレナは驚いて立ち上がり、まじまじと鏡を眺めた。縦長の楕円の形をした鏡の周囲には、百合に似た花を描いた磁器の飾りがある。とても華やかで美しい鏡だけれど、貴族の屋敷ならどこにでもありそうな、特別なものでもない。
「クラリスも見たんですか?」
「いいえ……メアリーお姉さま以外は、誰ひとり……」
「メイドも?」
「メイドたちはお姉さまが何かにおびえるように鏡を見ていたと話すばかりで……。幼い頃からとても気丈な姉でしたから、とうとうお倒れになってしまったと聞いたときは……本当にもうどうなることかと……」
古代王家に伝わる呪い……という伝説めいた話はあるけれど、そういうたぐいのものだろうか。王太子の婚約者となったメアリーに、精神的な負担がかかり、幻覚を見た可能性はあるだろう。
「それで、鏡をここに?」
「メアリーお姉さまがお部屋に入れなくなってしまったので、お父さまの指示でこちらに移したんです。けれど、その後もお姉さまの体調はすぐれず、婚約破棄となりました……」
「いま、メアリー様は?」
「公爵家の別荘地に移り住み、養生を終えたあと、縁戚の方と結婚し、今は幸せな暮らしをしています」
クラリスの表情がほっと息をついたようにやわらぐ。
婚約を解消したことで心が落ち着き、幻覚を見なくなったと考えるのが普通だろう。しかし、気になるのは、他の婚約者も辞退しているということだ。
「ほかの四人の方も同じような影を見たんですか?」
「クラリスも見たんですか?」
「いいえ……メアリーお姉さま以外は、誰ひとり……」
「メイドも?」
「メイドたちはお姉さまが何かにおびえるように鏡を見ていたと話すばかりで……。幼い頃からとても気丈な姉でしたから、とうとうお倒れになってしまったと聞いたときは……本当にもうどうなることかと……」
古代王家に伝わる呪い……という伝説めいた話はあるけれど、そういうたぐいのものだろうか。王太子の婚約者となったメアリーに、精神的な負担がかかり、幻覚を見た可能性はあるだろう。
「それで、鏡をここに?」
「メアリーお姉さまがお部屋に入れなくなってしまったので、お父さまの指示でこちらに移したんです。けれど、その後もお姉さまの体調はすぐれず、婚約破棄となりました……」
「いま、メアリー様は?」
「公爵家の別荘地に移り住み、養生を終えたあと、縁戚の方と結婚し、今は幸せな暮らしをしています」
クラリスの表情がほっと息をついたようにやわらぐ。
婚約を解消したことで心が落ち着き、幻覚を見なくなったと考えるのが普通だろう。しかし、気になるのは、他の婚約者も辞退しているということだ。
「ほかの四人の方も同じような影を見たんですか?」