運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 それにしても、ほんの少しだが、アレクには同情してしまう。結婚は王家のために必要だと考えてはいるだろうが、結婚自体に興味を失っていてもおかしくはない。婚約者の選出に慎重なのも、うなずける。

「マリーネ様もお幸せならよかったじゃないですか」

 励ますように、セレナは軽やかに声をかけた。

「さいわい、マリーネお姉さまは魔女のしわざで婚約を辞退したということになっていますから、それはそうなのですけれど……」

 サマセット公爵の顔に泥を塗ることなく、ふたりの娘の婚約は破棄された。となると、次の候補はクラリス……になりそうなものだが、彼女はレオンと仲良さそうにしていたし、サマセット公爵も、王太子弟との結婚に狙いを定めたのかもしれない。

「王都の方たちは、魔女の存在を信じてるんですか?」
「それはもう。……ルミナリアの時代、王家に影響を与えていたと言われる災厄の魔女イザベラは、恐怖の対象として、今でも語り継がれています」

 やはり、出てくるのは魔女イザベラの名……か。

「じゃあ、今回のことも」
「はい。イザベラのしわざ……そう思われています」

 しかし、イザベラはほこらに封印されていたはず。一人目の婚約者、メアリー・サマセットの見た黒い影がイザベラなら、彼女は五年も前に復活していたということになる。

 そういえば、テオは最近、魔物が増えたと言っていた。最近っていつだろう。もっと詳しく聞いておけばよかった。

 しかし、クラリスなら知ってるかもしれない。セレナは素早く椅子に腰かけ、尋ねる。

「魔物が増えたことも何か関係があるのかしら」
「魔物……?」

 クラリスは首をかしげたあと、そっと横に振る。

「わかりません。ただ……」
< 55 / 177 >

この作品をシェア

pagetop