運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「申し遅れました。俺はアルナリア王国、第一騎士団団長テオドール・ラングレーと申します」
「騎士団長……さん?」
「見えませんか?」
「いえ……、そうではなくて……」

 セレナはちらりとアレクの横顔を見やる。騎士団長より偉そうにしてるなら、この人はまさか……。

「アレク様は、我がアルナリア王国の第一王子。アレクシス・アルナリア王太子殿下です」

 やっぱり。どうりで態度が大きいわけだ。

 思わず、じろじろ眺めてしまうと、アレクは不服そうにじろりとこちらをにらむ。セレナはパッと目をそらして、テオに耳打ちするような小声で尋ねる。

「王太子自らが魔物討伐ですか……?」
「普段はよほどのことがなければ、遠征には出かけません」

 つまり、今回は『よほどのこと』があったのだろう。

「魔物って、いったいどんな? ゴブリンやオークみたいな魔物なら、殿下の手を煩わせたりはしませんよね?」
「魔物のことを知りたいんですか? 王都の令嬢は皆、魔物の魔の字も聞きたくないと嫌な顔をしますが、セレナさんは平気なんですね」

 テオはあきれと感心をないまぜにしたような顔をする。

「平気というか……、実際の魔物は見たことがないので、あまり実感がなくて……」
「そうでしたか。なんでも聞いてください。わかることならお教えしますから」

 そう答えてくれる爽やかな笑顔にほっとする。若いのに、騎士団長をつとめているのも納得だ。すっかり感激していると、アレクが馬の腹を蹴る。

「行くぞ、テオ。話が長くなるなら、メルンについてからにしろ」
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