運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 セレナはアレクを見上げる。あいかわらず、彼は心のうちをあかさない、どこか突き放すようなまなざしをしているが、ひるみたくはなかった。

「私は……私が何者なのか知りたいです」

 きっぱりと答えた。

 もし、イザベラだったら……? そんな不安はどこかにある。イザベラの復活とともに、彼女の身体に御堂星麗奈の魂が紛れ込んだ。そんなあり得ないような出来事が、本当に起きたのだとしたら、いずれ、自分はアレクの脅威になるだろう。

 セレナは嫌な予感を振り払うように首を振った。今は考えないようにしよう。たとえそうだったとしても、それはそのときに考えたらいい。今は、このアルナリアで生き延びる手段を選び取るのが先決だった。

「おまえがイザベラであったときは……」

 アレクはそう言いかけて、彼もまた首を振る。

「災厄の魔女イザベラ復活の予言が示す日時はすでに過ぎた。必ず、この世界にイザベラはいる。イザベラがその姿を現したとき、対抗できる力は、聖魔法……もしくは闇魔法のみ。今は一人でも多くの聖と闇の魔法使いを集めたい」

 それが、王太子としてのアレクのさだめ。それならば、期待に応える努力をするだけだ。生きるために。

 セレナはうなずくと、オリオンの手を握った。

「私に教えてください、闇魔法を。アレクシス殿下と出会わなければ、私はもう生きてなかったかもしれない。その恩はお返しするつもりです」
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