運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「そうねぇ。……あのほこらにも鏡があって、イザベラの鏡を通じて自由に出入りをしていたとか」
「イザベラの鏡が何枚もあるってこと?」
「調べてみる価値はあると思いません?」

 たしかに、王宮にある鏡はイザベラの鏡と呼ばれているけれど、それが一枚とは限らない。現に、クラリスの屋敷にある鏡の中に、魔女イザベラと思われる女の影をメアリーは見ている。ほかの婚約者も似た経験をしているのだから、それらすべての鏡が、イザベラの鏡であっても不思議ではないかもしれない。

 しかし、セレナには気にかかることがあった。リディアの仮説が正しければ、イザベラ復活の予言はどうなるのだろう。鏡を媒介に移動できるなら、そもそも復活すること自体がありえない。それに、イザベラを封印した勇者がほこらに鏡を置くなどという不手際を起こすだろうか。

「あ……、ねぇ、ほこらに入る許可は取れたの?」
「冗談を言うひまがあるならメルンでおとなしくしてろと一蹴されてしまいましたわ。アレクシス殿下は少々、堅物ですわね。仕方ありませんので、今日はこうして図書館へ来ましたのよ」

 大げさに彼女はため息をつくと、肩をすくめて黒い書物を開いた。
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