運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 すっかり夢中になって書物を読むリディアを横目に、セレナは本棚を眺めていた。

 見たこともない文字ばかりが並ぶ書物だが、不思議とすべて理解することができる。魔女、べナール、アルヴェイン……イザベラに届きそうで届かない言葉たちが続く中、セレナはふと一冊の本に手を伸ばす。

「ルミナリア王家と魔女の関わり……」

 タイトルをぽつりとつぶやき、本を開く。

 序章はルミナリア王家の成り立ちについて書かれている。本編はどうやら、王族がいかに勇敢に魔女と戦ってきたか……という武勇伝を、一つずつ事例をあげて描いているようだった。

 さらにパラパラとめくっていくと、系譜が目についた。ふと、嫌味なリチャードの顔が浮かぶ。

「……アードラーはルミナリアの旧王族だって言ってたわね」

 人差し指で系譜を辿っていくと、左端の方にアードラー家の名があった。ルミナリアの王族はすでにほとんどが滅び、残っているのは、アードラー家の血筋のものばかりのようだ。

 アルナリアの名が系譜にはないところを見ると、アルナリアを建国したアレクの先祖は、ルミナリアの王族ではなかったということになる。

 アレクはアードラーに対してあまりいい印象を持っていないようだったが、一つの国が滅び、新しい国が生まれるときの栄枯盛衰には、おそらく、激しい権力闘争があったはずで……、旧王族と現王族の間に確執があってもおかしくはないだろう。

「その本が読めるのか?」

 突然、後ろから声をかけられて、セレナは驚いて振り返った。

「アレクシス殿下……」
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