運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「アルヴェインの森奥深くにある洞窟でしか採取できない鉱石ですから。イザベラのほこらに行くよりもずっと危険な道のりです。たやすくは行けないのですよ」
「そうなんですか。じゃあ、結界のオーブは、王家の力がなければ作れないんですね……」

 つぶやきつつ、サファイアのように美しい青い石へと目を移す。

「これは……」
「魔力の動力源となる飛竜の魔石です。土属性のゴーレム対策には、風属性の飛竜を使うのでしょう」
「飛竜って?」
「先日、私が召喚したワイバーンに似ていますが、もっとずっと大きく、邪悪で強力なドラゴンです。数年ほど前でしたか……、王都周辺を飛び回っていましたのでね、アレク様が一掃された際にたくさん採取できたんですよ」
「あのワイバーンよりも大きなドラゴンを、殿下おひとりで?」

 驚いてまばたきを繰り返すと、オリオンはおかしそうにくすりと笑う。

「あの方は我がアルナリアの誇りなんですよ」
「……本当に、すごい人なんですね」

 いつも不機嫌で怒ってばかりに見えるけど、責任感が強くて、アルナリアを誰よりも大切に考えている人なのかもしれない。

「さて、材料は以上でよろしいですか?」
「はい、間違いないです」
「では、ここからはあなたの力が必要です。イザベラはその方法を記してはいません。おそらく、闇の力を扱えるものの悪用を防ぐためでしょう。彼女は大変賢く、未来を見通す力を備えていた。長き封印の眠りから目覚める日が来るのを信じていたのでしょう」

 イザベラはわかっていたのだろうか。長く平和だったアルナリアに魔物が復活し、自らがもう一度、結界のオーブを精製する日が来ることを。
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