離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 ちょうどその頃、王宮から遠征の話が舞い込んだ。
 騎士として遠征に参加すれば多くの報酬がもらえる。そうすればアリシアに贅沢をさせてやれる。
 フィリクスは迷うことなく戦場を選んだ。

 そうして2年の月日が流れた。
 そのあいだ、アリシアから手紙が届くこともあった。
 返事をしなければならないという思いはあったが、多忙極まりなく、ついに一度も返事をすることがなかった。

 というよりは、領地管理を任せている侍従への対応を優先していたため、アリシアへの個人的なことは後回しになっていたというほうが正しい。

 遠征から戻ってきたら、アリシアは美しく成長していた。
 フィリクスはますますどう接したらいいか迷い、アリシアと目を合わせることができなかった。

 ただ、侍従や使用人たちにはアリシアがやりたいことはやらせてあげるようにと伝えていたし、アリシアが望むものは買い与えるようにと伝えていた。
 遠征で多くの金を稼ぐことができた今、何不自由なく暮らせるようにしたはずだ。

 それなのに、離婚を突きつけられてしまった。

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