離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 フィリクスは執務室で苦悩していた。
 やるべきことは山ほどあるのに集中できず、頭を抱えて悩んでいる。

 すると扉がノックされ、侍従のセインが入室した。
 その手には封筒がある。
 彼は真顔でフィリクスにそれを差し出し、淡々とした口調で言った。

「旦那様、神殿からの手紙です」

 フィリクスは封筒を受け取り、中身を取り出す。
 それを見た彼は驚いて目を見開いた。

「……離婚申請」
「どうやら奥様は強制執行されるようですね」

 それは夫婦のどちらかが離婚に応じない場合、離婚事由がある場合に限り強制的に執行できる手続きだ。
 書面に書かれた離婚事由は夫婦生活の破綻とあった。

 白い結婚が3年続いた場合にそれが該当する。
 しかし、実際にそれで離婚申請をする者はほぼおらず、だいたいが不貞か暴力行為などの理由だ。

 不貞も暴力もしていない。何なら妻の自由も許している。
 何が不満なのかフィリクスにはいまいちわからなかった。

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