離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
侯爵家に戻ってかかりつけの医者に診てもらったところ、フィリクスは肋骨をやられていると告げられたのだ。
医者はたいそう激怒していたらしい。
「そんな大怪我で弓をつがえるなど、自殺行為としか思えない。その体で動きまわり、奥様を抱えて走るなんて正気の沙汰ではない……ということです」
セインが医者から言われたことを、丁寧に説明してみせた。
フィリクスは頭を打ち、脇腹を斬られ、大量に出血し、さらに骨にヒビまで入っている。しかも体のあちこちに打撲もしている。
その状態で険しい山道を歩き、ろくに薬もない状態で数日高熱が続き、ほとんど食事をとっていない体で伯爵領まで赴き、あのようなことをした。
「正直、どうやって生きていらっしゃるのか、今でも不思議です」
セインが真顔で淡々と言うので、アリシアは顔面蒼白になった。
「旦那様、そんなに大怪我だったなんて……」
「案ずるな。君を置いて死ぬことはない」
「でも、今後はご無理なさらないでください」
「ああ。君がそう言うなら、これから無理はしない」
フィリクスは溜まった仕事をセインに任せて休養することを約束した。
セインは肩をすくめて安堵のため息を洩らす。
そんな彼の肩を、エレナはぽんっと叩いて複雑な表情で微笑んだ。
医者はたいそう激怒していたらしい。
「そんな大怪我で弓をつがえるなど、自殺行為としか思えない。その体で動きまわり、奥様を抱えて走るなんて正気の沙汰ではない……ということです」
セインが医者から言われたことを、丁寧に説明してみせた。
フィリクスは頭を打ち、脇腹を斬られ、大量に出血し、さらに骨にヒビまで入っている。しかも体のあちこちに打撲もしている。
その状態で険しい山道を歩き、ろくに薬もない状態で数日高熱が続き、ほとんど食事をとっていない体で伯爵領まで赴き、あのようなことをした。
「正直、どうやって生きていらっしゃるのか、今でも不思議です」
セインが真顔で淡々と言うので、アリシアは顔面蒼白になった。
「旦那様、そんなに大怪我だったなんて……」
「案ずるな。君を置いて死ぬことはない」
「でも、今後はご無理なさらないでください」
「ああ。君がそう言うなら、これから無理はしない」
フィリクスは溜まった仕事をセインに任せて休養することを約束した。
セインは肩をすくめて安堵のため息を洩らす。
そんな彼の肩を、エレナはぽんっと叩いて複雑な表情で微笑んだ。