離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 その後、フィリクスとアリシアは自身の町へ赴き、メルアの食堂を訪れた。
 あまり目立たないような格好で行ったものの、いつの間にか噂が広まっていたらしく、店内はあふれんばかりの客で埋め尽くされていた。

「どこから聞きつけたのか、みんな集まってしまってね。せっかくお忍びで来てくれたのに」

 メルアが申し訳なさそうに言うと、フィリクスは穏やかに首を振った。

「ありがたいことだ。喜んで受け入れよう」

 そのひとことで店はさらに沸き立ち、客たちは次々とフィリクスのもとへ押し寄せた。
 聞きたいのはやはりグレゴリー撃退の顛末で、フィリクスは話せる範囲で丁寧に説明した。

「領主様の行方がわからなくて、どうなることかと思ったよ」
「アリシアのこと、みんな心配してたんだぜ」
「連れていかれたときはショックでさ」
「ディーンなんか馬車を町外れまで追いかけてたんだぞ」

 口々に向けられる言葉に、アリシアは頭を下げる。

「ありがとう、心配かけてごめんなさい」

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