離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
町は早くから賑わいを見せていた。
建物に飾られた鮮やかな布の旗が風に揺れ、香ばしい串焼きや甘い焼き菓子の匂いが漂う。屋台が並ぶ通りには果物や野菜を積んだ店主の威勢のいい声や、人々の笑い声でざわめいている。
大道芸の笛やアコーディオンの音が響き、人々が集まって拍手を送っていた。
アリシアは地味で目立たない格好をして、エレナと一緒にあたりを見まわった。
「すごく賑やかね」
「そうですわね。そういえば初めてではないですか? こうしてお祭りに参加されたのは」
「ええ、そうね」
エレナに言われてアリシアは思い出す。
去年も一昨年もメルアの食堂で働いていたから、こうしてゆっくり町を見まわるのは初めてだ。
祭りの夜の食堂は大盛況で、特別な酒や料理を振る舞ったりして忙しい。けれど、こういう日の忙しさはどことなく特別感があって、それはそれで楽しかった。
串焼きの香ばしい匂いに誘われて、それを買うと立ったままかぶりついた。
「美味しい!」
「こうして食べるのもたまにはいいですわね」
ふたりで串焼きをほおばりながら、アリシアはふと背後に目をやった。セインが無表情のまま、黙々と串の肉を咀嚼している。
エレナが楽しげに声をかけた。
「結局ついて来たのね」
「お前ひとりでは奥様を守れないだろう」
「仕事熱心ね。でも、楽しいでしょ?」
「別に」
そっけない態度だがしっかり串焼きをすべて平らげたセインを見て、アリシアは小さく笑った。
建物に飾られた鮮やかな布の旗が風に揺れ、香ばしい串焼きや甘い焼き菓子の匂いが漂う。屋台が並ぶ通りには果物や野菜を積んだ店主の威勢のいい声や、人々の笑い声でざわめいている。
大道芸の笛やアコーディオンの音が響き、人々が集まって拍手を送っていた。
アリシアは地味で目立たない格好をして、エレナと一緒にあたりを見まわった。
「すごく賑やかね」
「そうですわね。そういえば初めてではないですか? こうしてお祭りに参加されたのは」
「ええ、そうね」
エレナに言われてアリシアは思い出す。
去年も一昨年もメルアの食堂で働いていたから、こうしてゆっくり町を見まわるのは初めてだ。
祭りの夜の食堂は大盛況で、特別な酒や料理を振る舞ったりして忙しい。けれど、こういう日の忙しさはどことなく特別感があって、それはそれで楽しかった。
串焼きの香ばしい匂いに誘われて、それを買うと立ったままかぶりついた。
「美味しい!」
「こうして食べるのもたまにはいいですわね」
ふたりで串焼きをほおばりながら、アリシアはふと背後に目をやった。セインが無表情のまま、黙々と串の肉を咀嚼している。
エレナが楽しげに声をかけた。
「結局ついて来たのね」
「お前ひとりでは奥様を守れないだろう」
「仕事熱心ね。でも、楽しいでしょ?」
「別に」
そっけない態度だがしっかり串焼きをすべて平らげたセインを見て、アリシアは小さく笑った。