離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
それから数日、アリシアはフィリクスが昼夜問わず出かけていく様子を何度も目にした。
窓から庭園を見下ろし、目を凝らせると、玄関先に馬車を待たせて急ぐように乗り込む夫の姿。
「旦那様は頻繁にお出かけになるのね」
「どうやら外に愛人がいるという噂よ」
「まあ、なんてこと……」
アリシアがそばを通りかかったことに気づいた使用人たちは慌てて話をやめ、それぞれの持ち場へ戻っていった。
アリシアはもう限界だった。
アリシアはフィリクスの侍従に夫に話したいことがあると伝え、話し合いの場が設けられた。
なぜか客人のための応接室で、ふたりは向かい合う。
夫とこうしてまともに対面したのは初めてのことかもしれないとアリシアは思った。
しかし、これが別れ話というのはなんとも皮肉だ。
アリシアはそっと息を吐いて、フィリクスを見た。
姿勢は端正で視線はまっすぐ向けられている。だが、その瞳の奥までは相変わらず何も読めなかった。
「お忙しいところ、ありがとうございます」
まずそう切り出すと、フィリクスはわずかに眉を動かしただけで黙って頷いた。
しばし沈黙が流れる。
アリシアは、意を決して口を開いた。
「旦那様、離婚してください」
窓から庭園を見下ろし、目を凝らせると、玄関先に馬車を待たせて急ぐように乗り込む夫の姿。
「旦那様は頻繁にお出かけになるのね」
「どうやら外に愛人がいるという噂よ」
「まあ、なんてこと……」
アリシアがそばを通りかかったことに気づいた使用人たちは慌てて話をやめ、それぞれの持ち場へ戻っていった。
アリシアはもう限界だった。
アリシアはフィリクスの侍従に夫に話したいことがあると伝え、話し合いの場が設けられた。
なぜか客人のための応接室で、ふたりは向かい合う。
夫とこうしてまともに対面したのは初めてのことかもしれないとアリシアは思った。
しかし、これが別れ話というのはなんとも皮肉だ。
アリシアはそっと息を吐いて、フィリクスを見た。
姿勢は端正で視線はまっすぐ向けられている。だが、その瞳の奥までは相変わらず何も読めなかった。
「お忙しいところ、ありがとうございます」
まずそう切り出すと、フィリクスはわずかに眉を動かしただけで黙って頷いた。
しばし沈黙が流れる。
アリシアは、意を決して口を開いた。
「旦那様、離婚してください」