離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 話がひと段落した頃、アリシアはそっと切り出した。

「ところで、旦那様は先ほど何を話そうとされていたのですか?」

 フィリクスは一瞬、視線を窓の外へと向け、それから静かに答えた。

「ああ、俺か……君のことを知りたいと思って」
「えっ……」

 その言葉にアリシアはどきりとした。思わず息をのんで彼を見つめると、フィリクスはわずかに目を伏せて続けた。

「君がこの3年間、どんなふうに過ごしていたか、セインから報告は受けていた。しかし俺は、忙しさにかまけて君と向き合おうとしなかった」
「旦那様……」

 フィリクスは顔を上げ、まっすぐアリシアを見つめた。

「反省している」

 その言葉にアリシアは驚き、思わず言葉を失った。
 フィリクスは慎重に言葉を選びながら語っているようだ。

「言い訳が許されるなら、これまでのことを弁明したいと思ってる」
「……謝らないでください」

 ぽつりと告げるアリシアの言葉に、フィリクスはどこか落胆したように呟く。

「そうだな。今さら、俺が何を言っても……」
「でもあの……理由は、知りたいです」

 アリシアの声に、フィリクスは顔を上げる。
 ふたりの視線が重なった。

「手紙のお返事をいただけなかったこと。食事をご一緒していただけなかったこと。そして……会っても、目を合わせてもらえなかったこと。その理由を、知りたいです」

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