離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
フィリクスが黙ったまま硬直しているので、アリシアはハッとして、慌てて自身の発言を訂正することにした。
「申し訳ございません。離婚を願い出ている身で、愚かなことを申しました。お忘れください」
アリシアは居ても立ってもいられず、フィリクスの前をすり抜けると扉に手をかけた。
「すみません、私はお手洗いに……」
するとフィリクスはいきなり振り向いて、アリシアを扉へ追いやると、そのまま彼女の顔の横にドンッと手をついた。
驚いたアリシアは目を見開いて見上げる。
そこには今まで見たこともないほど真剣な表情の夫の顔がある。
「旦那様?」
「君は自分が何を言っているのか、わかっているのか?」
「申し訳ありません。離婚を告げている身で」
「そんなことはどうでもいい」
「そ、そんなこと……?」
フィリクスがあまりにも感情的になっているので、アリシアはびくびくと体を強張らせた。
「旦那様は一体、何を……」
「君が言ったのだからな。一緒に寝てもいいと。後悔するなよ」
「えっ、それはどういう……」
「もちろん、意味はわかっているだろう? 夫婦なのだからな」
アリシアはがちがちに固まったままフィリクスを見上げた。
フィリクスは獲物を捕らえた猛獣のような顔で見下ろしている。アリシアにはこう見えた。
「申し訳ございません。離婚を願い出ている身で、愚かなことを申しました。お忘れください」
アリシアは居ても立ってもいられず、フィリクスの前をすり抜けると扉に手をかけた。
「すみません、私はお手洗いに……」
するとフィリクスはいきなり振り向いて、アリシアを扉へ追いやると、そのまま彼女の顔の横にドンッと手をついた。
驚いたアリシアは目を見開いて見上げる。
そこには今まで見たこともないほど真剣な表情の夫の顔がある。
「旦那様?」
「君は自分が何を言っているのか、わかっているのか?」
「申し訳ありません。離婚を告げている身で」
「そんなことはどうでもいい」
「そ、そんなこと……?」
フィリクスがあまりにも感情的になっているので、アリシアはびくびくと体を強張らせた。
「旦那様は一体、何を……」
「君が言ったのだからな。一緒に寝てもいいと。後悔するなよ」
「えっ、それはどういう……」
「もちろん、意味はわかっているだろう? 夫婦なのだからな」
アリシアはがちがちに固まったままフィリクスを見上げた。
フィリクスは獲物を捕らえた猛獣のような顔で見下ろしている。アリシアにはこう見えた。