秘密の多い後輩くんに愛されています
「上田くんがずっと私を想っていてくれた気持ちにはかなわないかもしれないけれど、私も上田くんのことが好きです」
私の言葉に上田くんは目を見張る。
「……え」
「そ、そんなに驚くことかな?」
「驚きますよ。今日はそんなつもりで来てなかったんで。もしかして、先輩は告白の返事をするために今日、誘ってくれたんですか?」
「うん。自分の気持ちをちゃんと確認したくて。それで今日一日、過ごして私はこれからも上田くんと一緒にいたいと思ったの」
「それって俺と付き合ってくれるってことですよね?」
上田くんの期待に満ちた顔を前にすると目が泳ぐ。
「え? ……ここからフラれる展開ってあるんですか?」
「上田くんにとっては重い話になるかもしれないんだけど、最後にもうひとつだけ聞きたいことがあるの。……上田くんって結婚願望ある?」
「結婚願望……ですか?」
目をきょとんとさせる上田くんを見て、やっぱり言わなければよかったと後悔した。
でも、克樹のときと同じ轍を踏まないためには必要な話だ。
「私、前に付き合ってた人とは価値観の違いで別れたの。私は結婚を見据えて交際していたけど、彼は私と結婚する気なんてなかったみたいで」
「そうだったんですね」
「まだ付き合う前だし、こんなこと言うのは重いってわかってるんだけど、私は付き合うなら結婚を前提にお付き合いしたいと思ってるの」
「…………」
ほんの僅かな間が怖い。