秘密の多い後輩くんに愛されています
「せ、先輩方! それに皆も早く仕事に戻りましょう」
パンパンと両手を叩くと、皆がそれぞれデスクに向き直った。
私も自分のデスクに戻ろうとしたところを、後ろから服を掴まれ制止される。
「……清水さん?」
「舞花先輩はお人好しすぎます」
「え?」
「私のことなんて放っておけばよかったのに」
そう言って両目から大粒の涙をこぼす清水さんに、私のほうがぎょっとさせられた。
持っていたハンカチを渡しても一向に泣き止む気配のない彼女を給湯室へと連れていく。
「急に泣くからびっくりしたよ」
「泣けば許されるって思ってるんじゃないの」
私たちと一緒に給湯室へと来た侑里は泣き止まない清水さんを冷めた目で見下ろしていた。
「ちょっと侑里」
「今までは嘘泣きだったけど、この涙は本物です!」
……私が今まで見ていた清水さんの涙って偽物だったの。
彼女には驚かされてばかりだ。
「舞花先輩、あの時はひどいことをたくさん言ってすみませんでした。私、舞花先輩にずっと嫉妬してたんです。一目ぼれだった田島先輩が舞花先輩と付き合ってたから」
涙腺が崩壊したのか、声を上げながら泣きじゃくる彼女の背中を上下にさする。