秘密の多い後輩くんに愛されています

「本音で話してくれてありがとう」

「うぅっ、それから今日、助けてくれてありがとうございました」

「次はもう助けないよ?」

「え?」

さっきまで大粒の涙を流していた彼女の目から涙がピタリと止まる。

「これからはミスをしないように私が一から指導するから。そうしたら怒られないでしょう? 一緒に頑張ろうね」

「は、はぃ……。あの舞花先輩、本音ついでにいいですか?」

「何?」

まだ何かあるのかとひやひやする私に彼女は驚きの言葉を放った。

「今度、田島先輩紹介してください」

「怖っ、あんたの頭の中どうなってるの」

「私、坂下先輩は苦手です」

「私だって同じよ」

侑里と清水さんの言い合いに思わず吹き出してしまった。

「……ふたりとも意外と気が合うんじゃない?」

「合いません」

「合わないわよ」

デスクに戻る間も侑里と清水さんはああでもないこうでもないと言い争っていて、そんな彼女たちの背中を見て過ごす時間は案外心地よかった。

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