秘密の多い後輩くんに愛されています

私の好きな人はまだまだ秘密が多い


季節は夏から秋へと移り変わり、私たちゆきのフーズからは今秋、ご褒美バームクーヘンという新商品が発売されることになった。

今日は何百ものスイーツが集まり様々な芸術とのコラボが楽しめる『スイーツと芸術の秋』展の開催日。

私はPR企画のひとつにバームクーヘンのつかみ取りを提案した。

この日のために一口サイズにカットして包装してもらったバームクーヘンをお客様に片手で掴んでもらう。

そして、掴めた数をそのままお持ち帰りしてもらうのだ。

そうすれば一度に数種類の味を楽しんでもらえるし、ひとつは多いけれど色々な味を試食したいという顧客ニーズにも応えられる。

「舞花先輩。このボックスって、この位置で大丈夫ですか?」

清水さんが設置したつかみ取り用のバームクーヘンを入れるボックスの位置を多方面から見て確認する。

「うん。大丈夫」

今日は企画部の他に、営業部からも助っ人が来ている。

その中にはもちろん営業部のエースである克樹も。

「なぁ、販売用のバームクーヘンってこれだけか?」

ディスプレイを手伝ってくれていた克樹が箱の中を見て不思議そうに首を傾げる。

「それは会社から持ってきた分とつかみ取り用。残りはもうすぐ届くと思うんだけど……そういえば遅いな」

予定ならもうとっくに届いている時間だ。

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