秘密の多い後輩くんに愛されています
「俺、確認してきます」
「上田くんありがとう」
バームクーヘンは暁斗に任せて、私はイベントスペースを確認する。
今回の展示会はスイーツと芸術のコラボ。
お店の商品と同じ食品サンプルのグッズが売られたり、有名な画家のトークショーが行われたりする。
私たちゆきのフーズは食を描くことが得意な絵本作家のすいつ先生にバームクーヘンのヒーローが活躍する物語を描き下ろしてもらった。
購入者限定のサイン会も決まっていて、朝から大忙しだ。
「よし、あとは商品を並べるだけだね」
「白鳥先輩、大変です」
スマホを手に慌てた様子で駆け寄ってくる暁斗。
「どうかしたの?」
「高速で衝突事故があり、渋滞が起こってるみたいなんです。商品を乗せたトラックも足止めをくらってるみたいで入場時間には間に合いそうにないと……」
商品のバームクーヘンは会社から持ってきた分があるけれど、これだけでは到底足りず一時間もしないうちに在庫切れになる。
つかみ取りイベントも数に限りがあるし、商品がないとなると客足は途絶えてしまうだろう。
「今から持ってきてもらっても間に合わないし、どうしよう」
「白鳥先輩! 作家のすいつ先生、急病で来られないそうです」
今度は別の後輩が曇った表情で走ってくる。