あなたと私を繋ぐ5分
気のせいだろうかと思おうとしていたけれど、それ以来、社内でも鷺沼と遭遇することがなくなった。
頻繁に覗いていた給湯室に、鷺沼が来ることはなくなったし、何度か蕎麦屋で昼食を取ったけれど、姿を見かけることはなかった。
避けられているのだろうか。そう考えて、美咲は頭を振る。
そもそも、業務においても関係性においても、そんなに巡り会う機会のない人なのだ。
もしかしたら、誰かに自分と一緒にいるところを見られたのかもしれない。鷺沼が美咲を避ける理由としては、十分な気がした。社内恋愛をしたくないと言っていたのに、特定の女性社員と親しくしていたら――実際は親しいとまではいえないけれど――他の女たちから、迫られる機会が増えて困るだろう。
ただ美咲の中に引っかかっているのは、あの日、会社までの帰り道で突然、鷺沼の態度が変わったことだった。
誰か、見られたらまずい人でも通りかかったのだろうか。
あの日のことを思い出そうとしても、美咲の頭のなかには特に何も浮かばなかった。記憶に残っているのは、まるで張り付けられたような表情で美咲を見た、鷺沼の最後の横顔だけだった。
頻繁に覗いていた給湯室に、鷺沼が来ることはなくなったし、何度か蕎麦屋で昼食を取ったけれど、姿を見かけることはなかった。
避けられているのだろうか。そう考えて、美咲は頭を振る。
そもそも、業務においても関係性においても、そんなに巡り会う機会のない人なのだ。
もしかしたら、誰かに自分と一緒にいるところを見られたのかもしれない。鷺沼が美咲を避ける理由としては、十分な気がした。社内恋愛をしたくないと言っていたのに、特定の女性社員と親しくしていたら――実際は親しいとまではいえないけれど――他の女たちから、迫られる機会が増えて困るだろう。
ただ美咲の中に引っかかっているのは、あの日、会社までの帰り道で突然、鷺沼の態度が変わったことだった。
誰か、見られたらまずい人でも通りかかったのだろうか。
あの日のことを思い出そうとしても、美咲の頭のなかには特に何も浮かばなかった。記憶に残っているのは、まるで張り付けられたような表情で美咲を見た、鷺沼の最後の横顔だけだった。