あなたと私を繋ぐ5分
気づけば、会社のある駅に着いていた。
美咲は慌てて耳からイヤホンを外した。既に電車に乗り込んでくる乗客に謝りながら、ホームに降りる。
意識が完全に集中していた。
昨日、いつものように更新されたポッドキャストを聞いて――耳を疑った。
低い、落ち着いた、大好きな声。
耳を打つその声が、自分のよく知っている出来事について話している。
ひっと喉から声が漏れた。驚きと、困惑で頭のなかがいっぱいになる。
もしかしたら夢かもしれない。冷静になってもう一度聞き直そう。
そう考えて、昨日はさっさと眠ったのだ。
そして今朝、通勤途中に再びポッドキャストを再生し――流れてくる話の内容も、当然のことながら声も、昨晩となにひとつ変わっていなかった。
まさか、と思いながらも、この声を自分はよく知っているのではないか。
そんな疑問が浮かんでは消えていく。
いや、もう疑問ですらないのだ。
流れてきた言葉から、もう、このひとが誰か、はっきりとわかっているのだから。
低い、落ち着いた、理知的な声。その特徴を並べられたら、確かに鷺沼を連想しないこともない。
ただ――ひとりで淡々と喋り続ける潮騒と鷺沼がどうしても頭のなかで一致しなかった。
脳内を、今まで鷺沼と交わした会話が駆け巡っていく。
美咲は、喜々としてこのポッドキャストを勧めたことを思い出した。何も気づかず、本人に勧めてしまうなんて。
それを聞いて、鷺沼はどう思っただろう。思い起こしてみれば、鷺沼が妙にそっけなくなったのは、この話をしてからではなかったか。
もしかしたら、誰にも気づかれずにこの配信を続けたかったのかもしれない。それを美咲が気づいてしまったから、遠ざけたかった――?
そこまで考えて、だとしたら昨日の配信はなんだったのだろう、と疑問を抱く。今まで通り配信を続けていれば、美咲は潮騒が鷺沼だとは気づかなかっただろう。
どうして、と疑問を抱きながら改札を抜け、エスカレーターで地上へ出る。いつもの道をぼんやり歩き始めたときだった。
美咲は慌てて耳からイヤホンを外した。既に電車に乗り込んでくる乗客に謝りながら、ホームに降りる。
意識が完全に集中していた。
昨日、いつものように更新されたポッドキャストを聞いて――耳を疑った。
低い、落ち着いた、大好きな声。
耳を打つその声が、自分のよく知っている出来事について話している。
ひっと喉から声が漏れた。驚きと、困惑で頭のなかがいっぱいになる。
もしかしたら夢かもしれない。冷静になってもう一度聞き直そう。
そう考えて、昨日はさっさと眠ったのだ。
そして今朝、通勤途中に再びポッドキャストを再生し――流れてくる話の内容も、当然のことながら声も、昨晩となにひとつ変わっていなかった。
まさか、と思いながらも、この声を自分はよく知っているのではないか。
そんな疑問が浮かんでは消えていく。
いや、もう疑問ですらないのだ。
流れてきた言葉から、もう、このひとが誰か、はっきりとわかっているのだから。
低い、落ち着いた、理知的な声。その特徴を並べられたら、確かに鷺沼を連想しないこともない。
ただ――ひとりで淡々と喋り続ける潮騒と鷺沼がどうしても頭のなかで一致しなかった。
脳内を、今まで鷺沼と交わした会話が駆け巡っていく。
美咲は、喜々としてこのポッドキャストを勧めたことを思い出した。何も気づかず、本人に勧めてしまうなんて。
それを聞いて、鷺沼はどう思っただろう。思い起こしてみれば、鷺沼が妙にそっけなくなったのは、この話をしてからではなかったか。
もしかしたら、誰にも気づかれずにこの配信を続けたかったのかもしれない。それを美咲が気づいてしまったから、遠ざけたかった――?
そこまで考えて、だとしたら昨日の配信はなんだったのだろう、と疑問を抱く。今まで通り配信を続けていれば、美咲は潮騒が鷺沼だとは気づかなかっただろう。
どうして、と疑問を抱きながら改札を抜け、エスカレーターで地上へ出る。いつもの道をぼんやり歩き始めたときだった。