引きこもり令嬢の契約婚約
「私に何かしてほしいの?」
「キュウ」
次の瞬間、セアラは薄いベールに包まれたような感覚になった。目の前の景色が光り、一瞬でもとに戻る。見える景色が、今までと同じはずなのにどこか違う。
『聞こえる? セアラ』
急に知らない声が聞こえて、セアラは周囲を見回す。
しかし、人が増えてはいない。部屋にはソフィアと護衛騎士。シーグローヴ侯爵邸の使用人たちは、今は下がっている。
「え? 誰?」
『私。ネルっていうの。モグラの聖獣』
「せ、聖獣?」
声は、手のひらに乗せていたモグラのものだった。驚きで立ち上がると、モグラがバランスを崩して落ちていく。
「あっ、ごめんなさ……」
セアラは思わず謝ったが、柔らかな光に包まれたモグラは、地面にぶつかることなくゆっくりと着地した。
『ふう。危ない。……ねえ、ホワイティねえさん。本当に怒られない? 王族じゃない子に加護をあげちゃって』
『うるさいわね。こうしなきゃ話が通じないんだもの、仕方ないでしょ。それに、どうせいつか王族になる子だから気にすることないわ!』
目の前でモグラとホワイティが話している。そして、その内容が理解できる。
「う、嘘……でしょう? どうして私……あなたたちの言葉が分かるの?」
聖獣の声は、加護を得た人間にしか理解できないと聞いたことがある。そこから導き出せる理由はひとつだが、セアラはまだ信じられない。
『ネルが加護を与えたからに決まっているでしょ』
あっさりとホワイティに言われ、衝撃で頭が真っ白になった。
聖獣の加護は、王家の子が十三歳になると儀式により与えられるもの、だったはずだ。一侯爵家の庭先で、何の気なしに与えられるものではないはず。
「キュウ」
次の瞬間、セアラは薄いベールに包まれたような感覚になった。目の前の景色が光り、一瞬でもとに戻る。見える景色が、今までと同じはずなのにどこか違う。
『聞こえる? セアラ』
急に知らない声が聞こえて、セアラは周囲を見回す。
しかし、人が増えてはいない。部屋にはソフィアと護衛騎士。シーグローヴ侯爵邸の使用人たちは、今は下がっている。
「え? 誰?」
『私。ネルっていうの。モグラの聖獣』
「せ、聖獣?」
声は、手のひらに乗せていたモグラのものだった。驚きで立ち上がると、モグラがバランスを崩して落ちていく。
「あっ、ごめんなさ……」
セアラは思わず謝ったが、柔らかな光に包まれたモグラは、地面にぶつかることなくゆっくりと着地した。
『ふう。危ない。……ねえ、ホワイティねえさん。本当に怒られない? 王族じゃない子に加護をあげちゃって』
『うるさいわね。こうしなきゃ話が通じないんだもの、仕方ないでしょ。それに、どうせいつか王族になる子だから気にすることないわ!』
目の前でモグラとホワイティが話している。そして、その内容が理解できる。
「う、嘘……でしょう? どうして私……あなたたちの言葉が分かるの?」
聖獣の声は、加護を得た人間にしか理解できないと聞いたことがある。そこから導き出せる理由はひとつだが、セアラはまだ信じられない。
『ネルが加護を与えたからに決まっているでしょ』
あっさりとホワイティに言われ、衝撃で頭が真っ白になった。
聖獣の加護は、王家の子が十三歳になると儀式により与えられるもの、だったはずだ。一侯爵家の庭先で、何の気なしに与えられるものではないはず。