引きこもり令嬢の契約婚約


 セアラは戸惑いながらも、起きたことをありのまま、ソフィアに話した。ソフィアは一瞬絶句していたが、すぐに頭を切り替えたらしく、前のめりになって小声でささやいた。

「つまり、セアラ様は聖獣の加護をいただいたってこと?」
『そうよ。ソフィアは順応性が高いわね』
「そうですね。さすがはソフィア様です……」

 当人であるセアラはいまだ困惑中なので、すぐに受け入れられるソフィアは、本当にソフィアはすごいと思う。聖獣たちの声が聞こえるのだから、加護を得たのは間違いないのだろうが、なぜ自分が聖獣から選ばれたのか、納得がいかない。

『あなたは羨ましがっている場合じゃないの。諦めなさいよ。もう加護付きになったんだから』

 憧れの聖獣ホワイティは、案外きっぷのいい性格をしているようだ。対して、加護を与えてくれたネルは、セアラの袖口という落ち着く居場所を見つけた途端、そこに引きこもって黙ってしまった。

(でも気持ちもわかるわ。私もだいぶ疲れてきたもの。脳内を整理するためにもひとりになりたい……)

 しかし、状況はそれを許さない。ホワイティとソフィアという、頭の回転の速そうなふたりを相手に、ひとまず落ち着くまで会話を続けなければならないのだ。

「セアラ様。ホワイティ様が何を言っているか教えてくださらない?」
「……ソフィア様は話が早そうだとおっしゃっています」

 コクコクと頷くホワイティを見て、ソフィアは嘆息した。

「あら。聖獣におほめいただくなんて嬉しいわ。それにしても、本当にお話が通じてらっしゃるのね。すごいじゃない。これであなたを非難することなんて誰もできなくなったわ」

 ソフィアは嬉しそうだが、セアラの心境は複雑だ。

「でも、私はもう婚約破棄されてしまいましたし」
「あら。加護のことを王家が知ったら手放すわけがなくない?」
「でも、これ以上エリオット様の迷惑になりたくはないです」

 ソフィアは眉をひそめて、呆れたように息をつく。
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