引きこもり令嬢の契約婚約
見合いは、三人の候補者が鉢合わせしないよう、それぞれ一日ずつ、計三日にわたって行われるはずだ。セアラが最後なので、彼女はもう終わっているだろう。だとすればなぜ、今日ここにいるのだろうか。
アドレイドはセアラをじっと眺めると、あからさまにほっとしたように笑う。
「セアラ様は夜会にも出ていらっしゃらないので、どんな方なのかと気になって見に来ましたが……。ふふ。安心しましたわ」
邪気の無い笑顔で辛辣なことを言われ、思わず顔が引きつった。
高位の貴族令嬢であるならば、この程度の嫌味は笑顔でかわさなければならないのだが、セアラの表情筋は正直すぎるのだ。それも、引きこもりとなった理由のひとつである。
黙ってしまったセアラに、アドレイドはますます声を高くした。
「王太子妃にふさわしいのは、身分を考えても私のはずです。わざわざ他の方ともお会いするなんて、エリオット様のお手間を増やすだけだわ」
「えっと……、その」
それを決めるのは、アドレイドではないだろう。もちろん、セアラでもエリオット本人でもない。王家の結婚に、個人の意思が介入する余地はあまりないのだ。
「そうかもしれません。……が、決める権利は私たちにはありませんわ。ここで言い争うことには、あまり意味はないのではないですか?」
苦手なりに言葉を紡いで、ぎこちなくも笑顔を作ると、アドレイドはあざ笑うように、笑みを深くする。
「あら、嫌そうなお顔。でもね、私は、あなたのことを心配しているのです。社交もできないような方が、無理して王太子妃になっても苦労するだけだとお伝えしたくて……」
アドレイドは扇で口元を押さえながらも、高いよく響く声で続ける。
その仕草からも、セアラを小馬鹿にしているのは、明らかだ。
とはいえ、セアラは人から嘲笑されているのは慣れているので、特にショックにも感じない。悲しい話だがおおむね事実だし、だからこその引きこもりである。
アドレイドはセアラをじっと眺めると、あからさまにほっとしたように笑う。
「セアラ様は夜会にも出ていらっしゃらないので、どんな方なのかと気になって見に来ましたが……。ふふ。安心しましたわ」
邪気の無い笑顔で辛辣なことを言われ、思わず顔が引きつった。
高位の貴族令嬢であるならば、この程度の嫌味は笑顔でかわさなければならないのだが、セアラの表情筋は正直すぎるのだ。それも、引きこもりとなった理由のひとつである。
黙ってしまったセアラに、アドレイドはますます声を高くした。
「王太子妃にふさわしいのは、身分を考えても私のはずです。わざわざ他の方ともお会いするなんて、エリオット様のお手間を増やすだけだわ」
「えっと……、その」
それを決めるのは、アドレイドではないだろう。もちろん、セアラでもエリオット本人でもない。王家の結婚に、個人の意思が介入する余地はあまりないのだ。
「そうかもしれません。……が、決める権利は私たちにはありませんわ。ここで言い争うことには、あまり意味はないのではないですか?」
苦手なりに言葉を紡いで、ぎこちなくも笑顔を作ると、アドレイドはあざ笑うように、笑みを深くする。
「あら、嫌そうなお顔。でもね、私は、あなたのことを心配しているのです。社交もできないような方が、無理して王太子妃になっても苦労するだけだとお伝えしたくて……」
アドレイドは扇で口元を押さえながらも、高いよく響く声で続ける。
その仕草からも、セアラを小馬鹿にしているのは、明らかだ。
とはいえ、セアラは人から嘲笑されているのは慣れているので、特にショックにも感じない。悲しい話だがおおむね事実だし、だからこその引きこもりである。