引きこもり令嬢の契約婚約
ぴしゃりと言われ、エリオットも言葉を飲み込む。
理想が先行していることは、自分でも理解している。それでも、ひとつずつ進んでいかなければ何も変わらない。次代の王として、平和な世に生きる者として、エリオットはこの理想をやがて現実へと変えていきたいのだ。
「まあまあ、そんなに難しい顔をなさらないで、一息ついてくださいませ」
アドレイドがティーカップを並べていく。
普通の紅茶とは匂いが違い、「これは?」と尋ねれば、「隣国から取り寄せた、頭がすっきりするハーブティなんですのよ」と嬉しそうに答えた。
「ではいただこうか」
スーッと香りが鼻を抜けていく。さっぱりした味はおいしかった。
「おいしい」
「本当ですか! うれしいです」
彼女の言う通り、頭の中に降り積もっていた憂いが、消えていくようだった。
「そこで殿下。こちらは私からの提案です。いきなり豪華な美術館を建てられるような余裕は、わが国にもございません。そこで、まずは一度、貴族出資の美術展を開いてみてはいかがでしょう。もちろん初回はわがキャンベル公爵家の美術品を展示いたしましょう。場所は城のホールを解放すればいい。城には通常警備の兵が付いておりますから、警備関係も心配ないでしょう」
「ふむ……しかし、城ではなかなか平民には入りにくいんじゃないだろうか」
「どこに作ろうと、敷居が高いのは一緒です。そうだ。学生を招待するイベント日を設けてはいかがですかな。多くの子供たちから反応をもらえれば、殿下のお気持ちもすっきりするでしょう」
キャンベル公爵の説明はよどみなく、自信にあふれている。
確かに、いきなり建物を建設したいと願うのは、早計のような気がしてきた。
長年、文化大臣をやっているだけあって、各所への配慮が行き届いている。
理想が先行していることは、自分でも理解している。それでも、ひとつずつ進んでいかなければ何も変わらない。次代の王として、平和な世に生きる者として、エリオットはこの理想をやがて現実へと変えていきたいのだ。
「まあまあ、そんなに難しい顔をなさらないで、一息ついてくださいませ」
アドレイドがティーカップを並べていく。
普通の紅茶とは匂いが違い、「これは?」と尋ねれば、「隣国から取り寄せた、頭がすっきりするハーブティなんですのよ」と嬉しそうに答えた。
「ではいただこうか」
スーッと香りが鼻を抜けていく。さっぱりした味はおいしかった。
「おいしい」
「本当ですか! うれしいです」
彼女の言う通り、頭の中に降り積もっていた憂いが、消えていくようだった。
「そこで殿下。こちらは私からの提案です。いきなり豪華な美術館を建てられるような余裕は、わが国にもございません。そこで、まずは一度、貴族出資の美術展を開いてみてはいかがでしょう。もちろん初回はわがキャンベル公爵家の美術品を展示いたしましょう。場所は城のホールを解放すればいい。城には通常警備の兵が付いておりますから、警備関係も心配ないでしょう」
「ふむ……しかし、城ではなかなか平民には入りにくいんじゃないだろうか」
「どこに作ろうと、敷居が高いのは一緒です。そうだ。学生を招待するイベント日を設けてはいかがですかな。多くの子供たちから反応をもらえれば、殿下のお気持ちもすっきりするでしょう」
キャンベル公爵の説明はよどみなく、自信にあふれている。
確かに、いきなり建物を建設したいと願うのは、早計のような気がしてきた。
長年、文化大臣をやっているだけあって、各所への配慮が行き届いている。