引きこもり令嬢の契約婚約
「ちなみに、各領地で平民向けの学校を設立させているだろう。その生徒たちを招くことは可能だろうか」
「どうですかな。学校があっても全員が通っているわけではありませんし、あまりに王都から遠ければ難しいでしょう」
「そうか」
「展示物を絞って巡回しては? どうせ平民には物の価値はわからんのです。絵画を二・三枚持っていけば、驚きをもってみてくれるでしょう」
先ほどから、なかなかの妙案が出てくる。エリオットはキャンベル公爵のことを少し見直し始めていた。
「ご理解いただけて何よりです。この話を少しずつ進めていきましょう。よろしければ、明日もこの時間に打ち合わせを行えませんかな」
「わかった。都合をつけよう」
「またいらしてくださいませ。お茶を用意してお待ちしています」
アドレイドが微笑む。エリオットは柔らかく応じた。
「ああ、ありがとう」
「殿下。女性のお茶会には、話題を広める効果があります。アドレイドをうまく使ってやってください」
「私、必ずや殿下のお役に立ちますわ」
キャンベル公爵の言葉が、妙にストンと胸に落ちる。
「……そうだね。またお願いするよ」
「はい!」
廊下に出ると、ローランドがおずおずと口を出した。
「差し出がましようですが、このお話、進めて本当によろしいのですか?」
「どうして? いい案だと思ったけれど」
「今の流れだと、結局キャンベル公爵の権威を示すだけのイベントになるような気がしたので……」
「そうかな」