引きこもり令嬢の契約婚約
エリオットは途中で口をつぐむ。
本当におかしなものじゃないと言えるのだろうか。
頭はすっきりした。代わりに深く思考することができずに、目の前の人物の語る言葉が、素晴らしい提案のように思えた。
「……さっきまで、キャンベル公爵の執務室にいたんだ」
『ああ。あの公爵様。アンジェラから聞いたことがあるわ。執着が強くて苦手なんですって』
「アンジェラって?」
『猫の聖獣よ。今はルングレン山にいるわ。今よりずっと前に、王族に加護を与えていたの』
「キャンベル公爵の祖父は、当時の王弟だったか」
エリオットは王家の本家筋なので、十三歳の時にはホワイティの加護を得て、父や祖父の聖獣とも話ができた。どの聖獣も基本的には気がよく、父の聖獣のフランクリンもエリオットをかわいがってくれた。
しかし、当時聖獣の加護が得られなかった姉は、随分悲しい思いをしていたようだ。
「……執着か。わかるような気はする」
分家とはいえ、王族から外れてしまった公爵家では、聖獣の加護は得られない。
「キャンベル公爵がアドレイド嬢と僕を結婚させようとしているのは、そのせいなのかな……」
『ところでエリオット。セアラにネルが加護を与えたから』
「ネルって?」
『モグラの聖獣』
「……は?」
エリオットの頭を占めていた様々な懸念が、一瞬で霧散した。
だってあり得ないのだ。王家に連なるもの以外が、聖獣の加護を得るなんて。
「どういうこと? ホワイティ」
『うーん。あたしたちは自由よってことよ。セアラに直接文句が言いたかったの。あの子に加護をあげたがってた子もいたし』
あっけらかんと言われ、エリオットは父にどう説明したものか、頭を悩ませることとなったのだ。
本当におかしなものじゃないと言えるのだろうか。
頭はすっきりした。代わりに深く思考することができずに、目の前の人物の語る言葉が、素晴らしい提案のように思えた。
「……さっきまで、キャンベル公爵の執務室にいたんだ」
『ああ。あの公爵様。アンジェラから聞いたことがあるわ。執着が強くて苦手なんですって』
「アンジェラって?」
『猫の聖獣よ。今はルングレン山にいるわ。今よりずっと前に、王族に加護を与えていたの』
「キャンベル公爵の祖父は、当時の王弟だったか」
エリオットは王家の本家筋なので、十三歳の時にはホワイティの加護を得て、父や祖父の聖獣とも話ができた。どの聖獣も基本的には気がよく、父の聖獣のフランクリンもエリオットをかわいがってくれた。
しかし、当時聖獣の加護が得られなかった姉は、随分悲しい思いをしていたようだ。
「……執着か。わかるような気はする」
分家とはいえ、王族から外れてしまった公爵家では、聖獣の加護は得られない。
「キャンベル公爵がアドレイド嬢と僕を結婚させようとしているのは、そのせいなのかな……」
『ところでエリオット。セアラにネルが加護を与えたから』
「ネルって?」
『モグラの聖獣』
「……は?」
エリオットの頭を占めていた様々な懸念が、一瞬で霧散した。
だってあり得ないのだ。王家に連なるもの以外が、聖獣の加護を得るなんて。
「どういうこと? ホワイティ」
『うーん。あたしたちは自由よってことよ。セアラに直接文句が言いたかったの。あの子に加護をあげたがってた子もいたし』
あっけらかんと言われ、エリオットは父にどう説明したものか、頭を悩ませることとなったのだ。