引きこもり令嬢の契約婚約

ともに歩む覚悟

 翌朝一番に、王城から使いが来た。

「セアラ! お前、私に隠していることがあるだろう!」

 渡された封書を見た途端、父は彼女に詰め寄る。

「ネルちゃ……ネル様のことでしょうか」
「聖獣? うちの娘が? まさか……本当なのか」

 シーグローヴ侯爵は昨晩帰りが遅く、こうやって取り乱されるかと思ったからこそ、セアラは昨晩話さなかったのだ。

(じっくり時間のあるタイミングでって思っていたのに)

 実際は、一番最悪なタイミングになってしまった。自分で話す前に、王宮からの手紙で知るなんて。

「ネルちゃん、出てこられる?」
「キュ」

 セアラのドレスの袖口から、ネルが顔を出す。

「これが……聖獣様」
「ネル様といいます。我が家の庭にしばらくいて、私に加護をくださいました。……あの、お父様、私も昨日加護をいただいたばかりで、まだ半信半疑なんです。報告を怠ったわけではなくてですね……」
「モグラの聖獣とは……何ともセアラらしい」

 そこに納得されるとは思わず、セアラとしては微妙に複雑な気分だ。

「とにかく、真偽を確認すべく王城に来いとの仰せだ。……おまえは、驚いておらんのだな」
「昨晩、ホワイティ様が来て教えてくださったのです」

 寝不足の目をこすりながら言うと、父は感心したようにセアラを見た。

「……ホワイティ様とまで話ができるのか。本当に加護をいただいたのだな。わかった。城に向かう馬車の中で詳細は聞こう」

 すぐに身支度を済ませ、軽食を済ませて家を出る。

「姉さま、僕にできることがあれば言ってね」
「ありがとう。あなたは存在しているだけで私を支えてくれているから大丈夫よ」
「なっ……恥ずかしいこと言わないでよ!」

 真っ赤になったマイルズを見ていたら、噴き出してしまった。

「ふふ。でも本当のことよ」
『セアラとマイルズは仲良しだねー』

 セアラは父と共に馬車に乗り込んだ。途中、ソフィアの屋敷の前を通り、王城へと向かう。
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