引きこもり令嬢の契約婚約
「うわっ。ごめん。格好悪いな。これじゃまるで泣き虫殿下の再来だ」
慌てて腕で涙をぬぐうので、セアラは愛おしさがあふれ出し、手を伸ばす。
すると、バランスを崩したのかネルがドレスからぽとりと落ち、ホワイティが彼女を捕まえる。
「格好悪くなんてないですよ」
「セアラ」
「私も、泣きたいくらいうれしいですから」
そう言って微笑んだ瞬間、セアラはエリオットに抱きすくめられていた。
彼の腕でふさがれた耳に、ばさばさと、羽根のはばたきの音が届く。ホワイティが気を利かしてか、少し離れたところに移動したらしい。
「……ありがとう、セアラ」
「私こそ……ありがとうございます」
セアラの肩に顔をうずめたエリオットが、鼻をすする音がする。
「セアラ、涙を止める方法知ってる?」
「え? なんでしょう」
「好きな人からのキスだよ」
「は? そんなわけ……」
顔を離して見つめ合う彼は、目はうるんでいるもののもう泣き止んでいる。
「……もう泣いてないじゃないですか」
「でも欲しいな。これから泣かないために」
「……もうっ」
恥ずかしかったけれど、セアラも両思いになれたのがうれしかった。
彼の腕を掴んで、足をつま先立ちにして目を閉じる。
自分が近づくよりも早く、彼の顔が降りてきて、唇でぶつかった。
「……ん」
初めての、キスだ。物語で読んだみたいに甘いわけでも柑橘の味がするわけでもない。
だけど、心がふわふわして夢心地になるものだった。
慌てて腕で涙をぬぐうので、セアラは愛おしさがあふれ出し、手を伸ばす。
すると、バランスを崩したのかネルがドレスからぽとりと落ち、ホワイティが彼女を捕まえる。
「格好悪くなんてないですよ」
「セアラ」
「私も、泣きたいくらいうれしいですから」
そう言って微笑んだ瞬間、セアラはエリオットに抱きすくめられていた。
彼の腕でふさがれた耳に、ばさばさと、羽根のはばたきの音が届く。ホワイティが気を利かしてか、少し離れたところに移動したらしい。
「……ありがとう、セアラ」
「私こそ……ありがとうございます」
セアラの肩に顔をうずめたエリオットが、鼻をすする音がする。
「セアラ、涙を止める方法知ってる?」
「え? なんでしょう」
「好きな人からのキスだよ」
「は? そんなわけ……」
顔を離して見つめ合う彼は、目はうるんでいるもののもう泣き止んでいる。
「……もう泣いてないじゃないですか」
「でも欲しいな。これから泣かないために」
「……もうっ」
恥ずかしかったけれど、セアラも両思いになれたのがうれしかった。
彼の腕を掴んで、足をつま先立ちにして目を閉じる。
自分が近づくよりも早く、彼の顔が降りてきて、唇でぶつかった。
「……ん」
初めての、キスだ。物語で読んだみたいに甘いわけでも柑橘の味がするわけでもない。
だけど、心がふわふわして夢心地になるものだった。