引きこもり令嬢の契約婚約
「アドレイド様の言っていることが正しいのだと、思いました……けど、それは私の心の問題で……」
「実は、僕も似たような経験をした。キャンベル公爵の言葉をうのみにしてしまうことが。あの時の感覚を人にわかるように説明するのは難しいが、今振り返ってみれば確かにおかしかったんだ」
『そのきっかけがお茶ってこと?』
ホワイティがふたりの間に割って入る。
「僕がいつもと違うと感じたのはそれだけだからね。セアラの時と共通点もある」
「ローズマリーをベースにしたハーブティでしたよ。隣国からの輸入と言っていた気がします」
『ふうん。そっちも調べてみないとね。でもエリオット、そろそろ時間よ』
エリオットは腰に下げていた懐中時計を確認する。
「そうだね。セアラ、行こうか」
『ネルはセアラについていくといいわ。弱気になったら噛んでやるのよ、いいわね』
『わかったよう』
変なけしかけ方をしないでほしい。
でもホワイティは怒ると本気で攻撃してくるのだ。発言や行動はより一層慎重にしなければ。
『じゃあ、私はちょっと様子を見て回ってくるわ』
ホワイティが羽を広げ飛んでいく。ネルはセアラの袖に入り込み、またおとなしくなってしまった。
「……行こうか」
「はい」
エリオットのエスコートを受け、セアラは父の待つ応接室へと向かったのだった。