引きこもり令嬢の契約婚約
*
馬車がもうすぐシーグローヴ侯爵家につくというところで、ふいに止まった。小窓から覗くと、どうも屋敷の前に馬車が一台停まっているようだ。
「お嬢様、キャンベル公爵家の馬車です」
「えっ」
セアラが戸惑っているうちに、相手の御者が降りてきて、御者同士話を始める。
「キャンベル公爵令嬢様がお嬢様にお話があるようです」
「……では、中に入っていただいて」
セアラの指示に、御者は屋敷の使用人を呼び、公爵家の馬車をまず中に入れる。
セアラもすぐに馬車から降り、アドレイドを迎え入れるために玄関へと向かった。
馬車から降りたアドレイドは、赤のドレスに身を包んだつややかな姿だ。しかし、顔にはやや疲労が見られた。目元は少し腫れていて、ひとしきり泣いた後だというのも分かる。
「先ぶれもなく、申し訳ありませんわ。セアラ様」
「急用でしたか? 準備が整っておらず申し訳ありませんが、よかったら中にどうぞ」
「ええ」
アドレイドの表情は、怒りを我慢しているのか固い。
セアラはヒヤヒヤしたまま、彼女を応接室に誘った。
玄関先で話していたのは数分だったが、メイドたちの働きにより、なんとか部屋の体裁は整っていた。
部屋付きのメイドがお茶を入れ、セアラがアドレイドに勧める。
彼女はお茶を飲みながらもメイドを意識しているようだったので、「ここはもういいわ」とセアラが下がらせた。
馬車がもうすぐシーグローヴ侯爵家につくというところで、ふいに止まった。小窓から覗くと、どうも屋敷の前に馬車が一台停まっているようだ。
「お嬢様、キャンベル公爵家の馬車です」
「えっ」
セアラが戸惑っているうちに、相手の御者が降りてきて、御者同士話を始める。
「キャンベル公爵令嬢様がお嬢様にお話があるようです」
「……では、中に入っていただいて」
セアラの指示に、御者は屋敷の使用人を呼び、公爵家の馬車をまず中に入れる。
セアラもすぐに馬車から降り、アドレイドを迎え入れるために玄関へと向かった。
馬車から降りたアドレイドは、赤のドレスに身を包んだつややかな姿だ。しかし、顔にはやや疲労が見られた。目元は少し腫れていて、ひとしきり泣いた後だというのも分かる。
「先ぶれもなく、申し訳ありませんわ。セアラ様」
「急用でしたか? 準備が整っておらず申し訳ありませんが、よかったら中にどうぞ」
「ええ」
アドレイドの表情は、怒りを我慢しているのか固い。
セアラはヒヤヒヤしたまま、彼女を応接室に誘った。
玄関先で話していたのは数分だったが、メイドたちの働きにより、なんとか部屋の体裁は整っていた。
部屋付きのメイドがお茶を入れ、セアラがアドレイドに勧める。
彼女はお茶を飲みながらもメイドを意識しているようだったので、「ここはもういいわ」とセアラが下がらせた。