引きこもり令嬢の契約婚約

反撃の足掛かり

 夜、ランプの明かりを頼りに、エリオットが書類をまとめていると、ホワイティが窓の外に姿を現す。

「ホワイティ、おかえり」

 エリオットが窓を開けると、ホワイティはエリオットの腕に乗り、白い羽を彼の頬に摺り寄せる。

『茶葉を調べたわ。主成分はローズマリーとオレンジブロッサム。一般的なハーブよ。そしてもうひとつ、見たことがないハーブが混ざっていたの。調べたんだけど、ツルリカというらしいわ。オズボーン王国の西の岩場にのみ生える珍しいものよ』
「ふうん」
『とにかく存在そのものが希少なもので、高価よ。内臓を温める効果があると謳って販売しているようね。他のハーブは覚醒を促したり、緊張や不安をほぐしたりするものだから、おそらくだけど、他のハーブの効能を極度に高める効果があるんだと思う』
「極度に?」
『ええ。薬が毒にもなるように、ハーブだって効き目が強すぎれば体に悪影響を及ぼすわ。この組み合わせで、洗脳のような効果を生み出しているんでしょうね」

 エリオットは腕を組んで考え込む。

「なるほど? 思ったよりも簡単に罪には問えなさそうだね」
『そうね。ツルリカ自体には毒性はない。このハーブティーに洗脳効果があることを証明することと、それを商人とキャンベル公爵が認識していたことを明確に示さなければ、罪状はつかないわね。特に今回は、被害者らしい被害者もいないし』
「自供のみが解決法となると難しいなぁ」

 ため息をつくエリオットを、ホワイティはじっと見つめる。
< 148 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop