引きこもり令嬢の契約婚約
「……なんだい? ホワイティ。なにか言いたいことがあるみたいだけど」
『今回の件を調べている間、ずっと気になっていたことがあるのよ』

 まだ迷いがあるのか、ホワイティは目を泳がせる。

「確証はないってこと? いいよ。そのつもりで聞く」
『あなたのお母様は、キャンベル公爵の妹を相談役としていたのよ』
「ああ、知っているよ。前に公爵からきい……まさか」
『もしその頃から、キャンベル公爵がこのお茶の効果を知っていて、妹に使うよう勧めていたとしたら?』

 世継ぎをなかなか産めなかったことで、心を病んだと言われる母。彼女がそこまで追い詰められたのは、戦時中で父が多忙だったからだろうと言われていた。

『お茶とキャンベル公爵の妹の言動が、あなたのお母様が心を病むきっかけになったという可能性も、否定できないわ』

 エリオットは一瞬頭が真っ白になった。
 エリオットには、母親に育てられた記憶はない。出産の頃にはすでに心を壊していて、待望の男児の誕生にもどこか上の空だったという話だ。
 仕方ないと割り切っていたことだったが、それが他人の手によって貶められて結果なのだとしたら話は違う。おなかの中に、憤りが渦のように湧き上がってくる。

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