引きこもり令嬢の契約婚約


 翌日、王の執務室には重臣たちが集められ、セアラに聖獣の加護が与えられたことが伝えられた。

「まさか、あの令嬢に聖獣が?」

 一番驚いた様子を見せたのは、オルセン侯爵だ。
 彼もまた、結婚式までの間に、セアラが萎縮して婚約者を辞退するだろうと考えていたひとりで、自身の娘・ソフィアの輿入れを願っていた人物だ。

 キャンベル公爵は、苦虫をかみつぶしたような顔で黙っている。

「ではもう、王太子妃は彼女で決まりですね」
「そういうことだ。キャンベル公爵、オルセン侯爵。貴殿らの娘たちには、婚約者候補として拘束させてしまって申し訳なかったな。それぞれ良縁に恵まれることを願っている」
「……ありがたきお言葉です」

 不満げながらも頭を下げるオルセン侯爵に対し、無言を貫いたのはキャンベル公爵だ。

「加えて、聖獣の加護を持つ者として、セアラ嬢は王家の保護対象となる。皆、頭に入れておいてほしい」
「かしこまりました」

 国王からの通達が終わり、各自持ち場へと移動する。
 終始無言だったキャンベル公爵に、オルセン侯爵が近づいた。

「驚きましたな、聖獣の加護とは。ルングレン山は王族しか入れませんし、はぐれ聖獣でもいたのでしょうか」
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