引きこもり令嬢の契約婚約
「はい。ただ現状、女性に爵位継承権はありません。そのことも踏まえて……」
「そっちは任せていいのよね? 頼むわよ、次期王太子妃様?」

 それに関してはさすがに手放しで頷くわけにはいかない。今の時点で、セアラはただの侯爵令嬢だし、エリオットもまだ政治の実権を握っているわけではない。

「提案はします。実現に対して保証はできません。それは念頭に入れておいてください」
「わかったわ。私は私で、自分のできることをする」
「ええ」

 お茶会の名のもとに行われる小さな密約。
 こうしたものを積み重ねることで、為政者は仲間を増やし、力を付けていくのだろう。

(社交の意味は、たしかにあるんだわ)

 セアラにそれを教えてくれたのはソフィアとアドレイドだ。すべての出会いが、何かしらの意味を持っていて、気づくか気づかないかは自分次第なのだと思い知る。

「……ソフィア様、いつもありがとうございます」
「なによ、急にお礼なんて。言うなら私の方だわ。あなたの協力が、自分の人生を切り開くために、絶対に必要なんだもの」
「力を尽くします」
「ええ。頼りにしているわね」

 ソフィアと友人になれたことは幸運だった。そして、友人として恥じない存在にならなければと、セアラは思いを強くしたのだった。
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