引きこもり令嬢の契約婚約
「私、本当は薬師になりたいんです。だから、どうしても憧れのホワイティ様に会いたくて」
聖獣ホワイティは、どんな症状でも治すことができる、薬師の神様のような存在なのだ。
かつて山村ではやり病が起こった時も、彼女の薬によって短期収束したことがある。
薬師と聞いて、エリオットは納得したようだ。先ほどより少し前のめりになっている。
「そうか。薬師にね。侯爵令嬢という立場では反対されない?」
「反対は……されています。でも、お父様は勉強をすること自体は許してくださっているので。どこか田舎の領地に嫁いで、細々でも薬師の知識を役立てればいいかと思っています。あの、それで……」
「ホワイティに会わせてほしいってことだね。……困ったな。実は今、ホワイティとはケンカ中なんだよね」
「えっ。どうしてっ」
思わず立ち上がって詰め寄ってしまい、目を丸くしたエリオットを見て我に返る。
「す、すみません。興奮してしまって。……でもどうして」
慌てて腰を下ろし、バツが悪くなってうつむく。
エリオットはようやくいつものように微笑んだ。
「実はね。ホワイティはこの見合いに怒っているんだ。彼女は僕を……過剰に大事に思ってくれているから、王太子妃を迎えることもまだ早いと言っていて……」
「ええっ。でも……」
いくら聖獣の機嫌を取るためとはいえ、一国の王子が世継ぎを残さないわけにはいかないだろう。
思いが顔に出ていたのか、エリオットも頷く。
「そう。僕が世継ぎを残さなければ、王家の血筋が途絶えてしまう。だからここで折れるわけにいかないんだよね。なんとか、ホワイティにも納得してもらわなければならない」
しかしそれは前途多難のように思えた。
「それで提案なんだけど。君、この話を先に進める気はないかい?」
「先に……って。婚約するってことですか? それは無理です」
「でも、あまり僕に執着する人が相手だと、ホワイティの機嫌は直らないと思う。先ほどのアドレイド嬢では無理だろう」
確かに、セアラにまで牽制してくるような人物だ。相手が聖獣だとしてもエリオットの隣は譲らない可能性が高い。そうなれば彼を愛する聖獣の機嫌は損なわれたままだろう。
聖獣ホワイティは、どんな症状でも治すことができる、薬師の神様のような存在なのだ。
かつて山村ではやり病が起こった時も、彼女の薬によって短期収束したことがある。
薬師と聞いて、エリオットは納得したようだ。先ほどより少し前のめりになっている。
「そうか。薬師にね。侯爵令嬢という立場では反対されない?」
「反対は……されています。でも、お父様は勉強をすること自体は許してくださっているので。どこか田舎の領地に嫁いで、細々でも薬師の知識を役立てればいいかと思っています。あの、それで……」
「ホワイティに会わせてほしいってことだね。……困ったな。実は今、ホワイティとはケンカ中なんだよね」
「えっ。どうしてっ」
思わず立ち上がって詰め寄ってしまい、目を丸くしたエリオットを見て我に返る。
「す、すみません。興奮してしまって。……でもどうして」
慌てて腰を下ろし、バツが悪くなってうつむく。
エリオットはようやくいつものように微笑んだ。
「実はね。ホワイティはこの見合いに怒っているんだ。彼女は僕を……過剰に大事に思ってくれているから、王太子妃を迎えることもまだ早いと言っていて……」
「ええっ。でも……」
いくら聖獣の機嫌を取るためとはいえ、一国の王子が世継ぎを残さないわけにはいかないだろう。
思いが顔に出ていたのか、エリオットも頷く。
「そう。僕が世継ぎを残さなければ、王家の血筋が途絶えてしまう。だからここで折れるわけにいかないんだよね。なんとか、ホワイティにも納得してもらわなければならない」
しかしそれは前途多難のように思えた。
「それで提案なんだけど。君、この話を先に進める気はないかい?」
「先に……って。婚約するってことですか? それは無理です」
「でも、あまり僕に執着する人が相手だと、ホワイティの機嫌は直らないと思う。先ほどのアドレイド嬢では無理だろう」
確かに、セアラにまで牽制してくるような人物だ。相手が聖獣だとしてもエリオットの隣は譲らない可能性が高い。そうなれば彼を愛する聖獣の機嫌は損なわれたままだろう。