引きこもり令嬢の契約婚約
「エリオット様、ドルフとは?」
「ああ。ドルフはね、狼の聖獣で姉を守っているんだ」
「ですが、フィオナ様は聖獣の加護を得られなかったのでは……」

 エリオットの姉フィオナは、十三歳の儀式で聖獣の加護を得られなかったはずだ それもあり、オズボーン王国との和平の為、かの国の王太子に嫁ぐことになったのだ。

「内緒だけどね。オズボーン王国に行ってから加護を賜ったらしい」
「……そんなことがあるんですか」

 狼と言えば、初代国王を守護した聖獣がそうだ。聖獣の中でも特に能力が高く、狼が国王を守護している時代は、国は安泰だと言われている。
 もし、十三歳の段階でフィオナが狼の加護を得ていたとしたら、次期王はフィオナになっていたかもしれない。

「姉上は今、正妃として幸せに暮らしているんだ。大っぴらにしてもめることもないだろう?」
「それはそうですね」
「じゃあ決まりだ。父上とシーグリーヴ侯爵からの旅行許可は僕がとっておくから心配しないで」
「は、はい」

 あっという間に段取りが整われて、セアラは頷くのが精いっぱいだった。

『旅行だね。楽しみだね?』

 ネルからそう言われて、ようやく言葉が出る。

「そうね。楽しんで……いいのよね?」
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