引きこもり令嬢の契約婚約
アドレイドの報復
*
早朝、食事を終えたアドレイドが外に出ようとしているのを見て、キャンベル公爵は問いかける。
「どこへ行く。アドレイド」
「どこって、学校に決まっているわ」
「行かなくていいと言っただろう。お前は王太子妃になるんだ。殿下との交流を深めることの方が重要だろう」
「……お父様は正気なの? セアラ様は聖獣の加護を得たのよ? エリオット様があの方以外を選ぶことはもうないわ」
聖獣ネルに浄化してもらってから、アドレイドは自分でも驚くほど客観的に状況が見えるようになった。
王家が聖獣の加護を持つ令嬢を手放すわけがないし、それ以前にあの二人は相思相愛だ。引きこもりだと馬鹿にしていたセアラは、予想外に見識を持った思慮深い令嬢だ。そう認めてしまえば、やるせない気持ちも落ち着いてきた。
執着を手放せば、こんなに心が楽になるのだと、アドレイドは身をもって知ったのだ。
「ですから私、新しい縁談を探していただきたいのです。でも、お父様が動いてくださらないから、学校で見つけるしかないと思いましたのよ」
公爵令嬢であるアドレイドにとって、王家以外の縁談は格下の家門へ嫁ぐことと同意だ。そうであれば、せめて好いた相手のもとに嫁ぎたいと思うのは女心としては間違っていないだろう。今までエリオットしか見ていなかった分、他の男性に目を向け、自分に合った相手を探したいのだ。
「ダメだ。あの小娘に王太子妃など務まるわけがない。どうせ、すぐに心を病んでしまうに決まっている。そうしたらアドレイド、お前が殿下をお慰めするんだ」
「お父様分かっていないわね。セアラ様って、案外図太いのよ。王太子妃の重責に心を病むなんてことはないと思うわ」
すでに一度、セアラは心を折られている。それでも戻ってきたのだから、二度も同じことが起こるはずはないとアドレイドには思えた。
早朝、食事を終えたアドレイドが外に出ようとしているのを見て、キャンベル公爵は問いかける。
「どこへ行く。アドレイド」
「どこって、学校に決まっているわ」
「行かなくていいと言っただろう。お前は王太子妃になるんだ。殿下との交流を深めることの方が重要だろう」
「……お父様は正気なの? セアラ様は聖獣の加護を得たのよ? エリオット様があの方以外を選ぶことはもうないわ」
聖獣ネルに浄化してもらってから、アドレイドは自分でも驚くほど客観的に状況が見えるようになった。
王家が聖獣の加護を持つ令嬢を手放すわけがないし、それ以前にあの二人は相思相愛だ。引きこもりだと馬鹿にしていたセアラは、予想外に見識を持った思慮深い令嬢だ。そう認めてしまえば、やるせない気持ちも落ち着いてきた。
執着を手放せば、こんなに心が楽になるのだと、アドレイドは身をもって知ったのだ。
「ですから私、新しい縁談を探していただきたいのです。でも、お父様が動いてくださらないから、学校で見つけるしかないと思いましたのよ」
公爵令嬢であるアドレイドにとって、王家以外の縁談は格下の家門へ嫁ぐことと同意だ。そうであれば、せめて好いた相手のもとに嫁ぎたいと思うのは女心としては間違っていないだろう。今までエリオットしか見ていなかった分、他の男性に目を向け、自分に合った相手を探したいのだ。
「ダメだ。あの小娘に王太子妃など務まるわけがない。どうせ、すぐに心を病んでしまうに決まっている。そうしたらアドレイド、お前が殿下をお慰めするんだ」
「お父様分かっていないわね。セアラ様って、案外図太いのよ。王太子妃の重責に心を病むなんてことはないと思うわ」
すでに一度、セアラは心を折られている。それでも戻ってきたのだから、二度も同じことが起こるはずはないとアドレイドには思えた。