引きこもり令嬢の契約婚約
*
あれよあれよと準備を整え、セアラとエリオットは早朝から馬車に乗り込んで、一路アルドリッド辺境伯家を目指していた。
一日でつく距離なのだが、途中に山越えが入るため、なかなか大変なのだ。特に馬車の揺れが。
『アルドリッド辺境伯領は、わたしも行ったことないの』
袖口から顔を出してそう言うのはネルだ。
「そうなの? やっぱり山越えが大変だから?」
『うん。昔の地殻変動で崖ができちゃっているし、あそこの岩盤層は固いんだよね』
「じゃあ、ネルちゃんも初めての土地なんだね」
ネルと話しながら、セアラはやや観光気分だ。なにせ初めて訪れる土地だ。
(うちの領地とはまた違う環境だから、生える植物にも違いがあるでしょうし、楽しみだわ)
分厚い薬草辞典もカバンに入れてきた。新しい植物をスケッチするためのクロッキー帳も入れてある。
向かいに座るエリオットは、その様子を微笑んで見ている。
王都近辺は舗装された道があるが、そこから先は道が一気に悪くなるのだ。
周囲の景色から徐々に緑が消え、赤い岩肌の山岳地帯へと入る。この山を越えた場所がアルドリック辺境伯領だ。
さらに東へと向かえば出入国管理が行われているインデス町があり、北に向かうとアルドリック辺境伯家がある北東部最大都市デリカがある。
山頂付近に向かって、崖のある狭い道を馬車は行く。ここは馬車同士がギリギリすれ違えるくらいの道だ。
「結構揺れますね」
王家の馬車なので、クッションなどは最高級品を用意されているが、それでも揺れがひどく、おしりと腰に振動を感じる。
「セアラ、舌を嚙まないようにね」
「は、はいぃ。それにしても、狭い道ですね」
「これでも広げた方なんだ。この山に住んでいた聖獣は、道を開拓されたことでルングレン山に移動したようだよ」
「聖地としての環境ではなくなったということですか。聖獣たちは、居場所を奪われたということ?」
あれよあれよと準備を整え、セアラとエリオットは早朝から馬車に乗り込んで、一路アルドリッド辺境伯家を目指していた。
一日でつく距離なのだが、途中に山越えが入るため、なかなか大変なのだ。特に馬車の揺れが。
『アルドリッド辺境伯領は、わたしも行ったことないの』
袖口から顔を出してそう言うのはネルだ。
「そうなの? やっぱり山越えが大変だから?」
『うん。昔の地殻変動で崖ができちゃっているし、あそこの岩盤層は固いんだよね』
「じゃあ、ネルちゃんも初めての土地なんだね」
ネルと話しながら、セアラはやや観光気分だ。なにせ初めて訪れる土地だ。
(うちの領地とはまた違う環境だから、生える植物にも違いがあるでしょうし、楽しみだわ)
分厚い薬草辞典もカバンに入れてきた。新しい植物をスケッチするためのクロッキー帳も入れてある。
向かいに座るエリオットは、その様子を微笑んで見ている。
王都近辺は舗装された道があるが、そこから先は道が一気に悪くなるのだ。
周囲の景色から徐々に緑が消え、赤い岩肌の山岳地帯へと入る。この山を越えた場所がアルドリック辺境伯領だ。
さらに東へと向かえば出入国管理が行われているインデス町があり、北に向かうとアルドリック辺境伯家がある北東部最大都市デリカがある。
山頂付近に向かって、崖のある狭い道を馬車は行く。ここは馬車同士がギリギリすれ違えるくらいの道だ。
「結構揺れますね」
王家の馬車なので、クッションなどは最高級品を用意されているが、それでも揺れがひどく、おしりと腰に振動を感じる。
「セアラ、舌を嚙まないようにね」
「は、はいぃ。それにしても、狭い道ですね」
「これでも広げた方なんだ。この山に住んでいた聖獣は、道を開拓されたことでルングレン山に移動したようだよ」
「聖地としての環境ではなくなったということですか。聖獣たちは、居場所を奪われたということ?」